史上最多ペースのメダル獲得に沸く、東京五輪2020。開幕直前までは、収まらないコロナ感染と、五輪組織委員会の度重なる不始末でネガティブ報道ばかりだったテレビ各局も、すっかり五輪一色に様変わりした。上げ潮状態だが、いまだにツイッターなどのSNSでは、「#五輪は見ない」「#五輪中継視聴ボイコット」などのハッシュタグをつけた書き込みも多くみられる。
過去の苛烈ないじめ問題で楽曲担当を辞任した小山田圭吾(52才)や、過去のホロコーストを揶揄する内容のコントでディレクターを解任された小林賢太郎(48才)の問題もあってさんざんな前評判だった五輪開会式も、蓋を開けたらNHKによる生中継の世帯視聴率は驚異の56.4%。あるテレビ制作会社幹部は「開会式だけでなく、競技の中継も軒並み高視聴率です。五輪反対派も、いざ始まると一生に一度かもしれない母国開催だけに、やっぱり気になる、思わず見てしまうということでしょう。五輪反対派は、いまや“元五輪反対派”となっている人も多いと言えるかもしれません」と分析した。
一方で、メダルラッシュや高視聴率によって、五輪開催前に噴出した組織委や現政権への批判が収まったわけではなさそうだ。懸念されていたコロナ対策は、成功とは言い難い。
永田町関係者は、「当初から政府は、『五輪は絶対に盛り上がる。そうすれば政権批判の風向きも変わる』などと、本気で考えている節がありました。しかし、海外の五輪関係者の来日の影響とは言わずとも、開会直後からコロナの新規感染者数が国内全体で1日1万人以上、都内でも3000人超えと、一気に過去最多に急増してしまった。もはや有効的な手段もなく、実質的には神頼みの状態。これでは政権批判が止むわけがない」と呆れる。
7月30日夜の会見で菅義偉首相は、8月2日からの4府県(埼玉、千葉、神奈川、大阪)への緊急事態宣言の発動、東京と沖縄の期限延長、さらに5道府県(北海道、石川、京都、兵庫、福岡)への「まん延防止等重点措置」を発表した。しかし、すでに7月12日から緊急事態宣言下の東京都と沖縄県でも、感染者が爆発的に増え続けている。「緊急事態」への慣れと麻痺により、もはや効果が得られなくなっているのが現実だ。