ライフ

KeMCo【3】キャンパスと美術館をつなぐテラスに壇蜜も感心

3階のテラス。展示室と隣接し、展示によってはブラインドが開放されてキャンパスの眺望を背景に作品を鑑賞できる

3階のテラス。展示室と隣接し、展示によってはブラインドが開放されてキャンパスの眺望を背景に作品を鑑賞できる

 日本美術応援団団長である美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京都港区の慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)の第3回。2人が伝統的なキャンパスを取り巻く施設について語り合った。

壇蜜:4月に誕生した慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)は港区の桜田通りに面した真新しい施設ながら、テラスに立つと煉瓦造りの図書館旧館やモダニズム建築の図書館新館など慶應の建築が一望でき、伝統あるキャンパスへスッと溶け込みます。

山下:テラスの緑が樹木の多い三田キャンパスと美術館を繋ぐ架け橋となっている。“繋ぐ”ことはKeMCoが基軸とする理念のひとつで常設作品『FFIGURATI#314』にもその精神が宿っています。

壇蜜:ストリートアートのようなモチーフが柱やカーテンに描かれていますね。

山下:気鋭の現代アート作家・大山エンリコイサムの独自のモチーフで彼の様々な創作活動で展開されています。作品が見られるのは最新のデジタル機材を備えたKeMCo StudI/Oです。ここは収蔵品の検索や閲覧ができるサービスなどデジタル情報を生み出し、工作なども行なうクリエイション・スタジオでアナログの文化財とデジタル空間を繋いで創造する場。室内の柱に描かれた壁画と透け感のあるカーテンへ転写されたモチーフにも通じるものを感じませんか?

壇蜜:透ける布地では視覚にずれが生じますね。触れられるアナログのモチーフの中に触れられない、テレビ画面のモアレのようなデジタルの質感もある。風に揺られて形を変えるモチーフをゆったり感じるアナログな時の流れも贅沢です。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)
【開館時間】展覧会により異なる
【休館日】土、日、祝
【入館料】無料
【住所】東京都港区三田2-15-45 ※開館情報はHPにて要確認
【オンライン展覧会】Keio Exhibition RoomX
「交景:クロス・スケープ」https://roomx.kemco.keio.ac.jp/KeMCo
「360VIEW」https://studio.kemco.keio.ac.jp/360/

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年8月13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン