芸能

若山富三郎さんが息子へ「何も離婚したのは俺だけが悪いんじゃないんだ」

若山富三郎さんが息子・騎一郎さんへ遺した言葉(写真/共同通信社)

若山富三郎さんが息子・騎一郎さんへ遺した言葉は(写真/共同通信社)

 遺された家族の心に刻まれる、巨星たちが遺した「言葉」。俳優・若山富三郎さんの息子・若山騎一郎が振り返る。

 * * *
 小さい頃、おふくろには「父親は病気で死んだ」と聞かされていた。でも仏壇はないし、赤ちゃんの頃の写真で俺を抱いているのはどう見ても若山富三郎だった。でも子供心にも聞いてはいけない気がしていた。若山富三郎が親父なんだとはっきりわかったのは中学生の頃だった。

〈『緋牡丹博徒シリーズ』『子連れ狼シリーズ』や『魔界転生』などで知られる大スターの富三郎は、騎一郎が生まれてまもなく離婚した。10代で千葉真一主宰のジャパンアクションクラブに入団するも怪我で退団した騎一郎は、父の「若山企画」の門を叩いた〉

 20歳の時に親父のところに挨拶に行くと、「大きくなったな」と言ってくれた。「お前どこか事務所決まったのか」と聞くので、まだ決まっていないですと答えると、3日ぐらいしてから親父から電話がきて「うちに入るか」と言われました。

 それまで会うといつもニコニコと笑顔だった親父は、その日から180度人が変わった。同じ芝居の世界に入ったらもう地獄だった。一度、あまりにも理不尽に殴られるから兄のように慕っていた安岡力也さんに電話して「一度、シメましょうよ、2人なら勝てますよ」と言ったの。そしたら「なに言ってんだよ。勝つ負けるの問題じゃねぇんだよ」と止められた(笑)。

 あの安岡さんも親父にはビビってた。

〈富三郎は1992年4月2日、急性心不全で亡くなった(享年62)。別れは突然だった〉

 糖尿病があって、心臓もハワイでバイパス手術していて、腎不全も起こしているから人工透析を週に2、3回受けていた。親父とは頻繁に会っていたけど、撮影所に近い京都に移り住んでからは2か月に1回くらいの頻度で会いにいきました。

 人工透析が辛いと言っていたので見舞いにいったら、ものすごい顔で「お前、何しに来たんだ!」って怒鳴られた。見られたくなかったんだと思う。その日は病院に付き添ったけど、親父は病院食をまったく食べない。病院の炊事場を借りて弟子たちにラーメンを作らせて食べていた。お医者さんはその姿を見て頭を抱えているの。

 亡くなったのは、勝おじちゃん(富三郎の弟の勝新太郎)が事件を起こして、執行猶予付きの判決が出た直後だった。勝おじちゃんと、(中村)玉緒おばちゃん、(女優の)清川虹子さんと親父で麻雀をやっていたら、親父が突然、バーンって倒れた。それで病院に運ばれて心臓に電気ショックを何度か与えているうちに、勝おじちゃんが「いや、可哀想だから、お兄ちゃんにこれ以上苦しませちゃいけない」と断わって、そのまま亡くなった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ブラジルを公式訪問している佳子さま(写真/アフロ)
佳子さま、外交関係樹立130周年のブラジルを公式訪問 子供たちと笑顔でハイタッチ、花柄のドレス姿も 
女性セブン
「寂しい見た目」の給食に批判が殺到(X /時事通信フォト)
《中国でもヤバい給食に批判殺到》ラー油かけご飯、唐揚げ1つ、「ご飯にたまご焼きだけ」と炎上した天津丼…日本・中国で相次ぐ貧相給食の背景にある“事情の違い”
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
家出した中学生を自宅に住まわせ売春させたとして逮捕された三ノ輪勝容疑者(左はInstagramより)
《顔面タトゥーの男が中学生売春》「地元の警察でも有名だと…」自称暴力団・三ノ輪勝容疑者(33)の“意外な素顔”と近隣住民が耳にしていた「若い女性の声」
NEWSポストセブン
山本賢太アナウンサーのプロフィール。「人生は超回復」がモットー(フジテレビ公式HPより)
《後悔と恥ずかしさ》フジ山本賢太アナが過去のオンラインカジノ利用で謝罪 「うちにも”オンカジ”が…」戦々恐々とする人たち
NEWSポストセブン
親日路線を貫いた尹政権を「日本に擦り寄る屈辱外交」と断じていた李在明氏(時事通信フォト)
韓国・李在明新大統領は親中派「習近平氏の接近は時間の問題」、高まる“日本有事”リスク 日米韓による中国包囲網から韓国が抜ける最悪のケースも
週刊ポスト
田中真一さんと真美子さん(左/リコーブラックラムズ東京の公式サイトより、右/レッドウェーブ公式サイトより)
《真美子さんとの約束》大谷翔平の義兄がラグビーチームを退団していた! 過去に大怪我も現役続行にこだわる「妹との共通点」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《「来来亭」の“ウジムシ混入ラーメン”動画が物議》本部が「他の客のラーメンへの混入」に公式回答「(動画の)お客様以外からのお問い合わせはございません」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン