数年前に治療した歯が、また痛い。忙しいときに、また歯科に行くのか……。こんな経験をした人も多いことでしょう。これを「原因にアプローチしないモグラ叩きのよう」と疑問を投げかけるのは、自由診療の歯科クリニックを開設した堀滋(ほりしげる)医師。私たちが当たり前に受けている一般的な歯科診療には、さまざまな問題があると指摘しています。
時代に合わない治療で、歯が失われている
冒頭のようなケースについて、堀医師は、「むし歯や歯周病になる根本的な原因に対するアプローチが足りないのが問題」といいます。根本的な原因として挙げるのは、歯や歯茎が悪くなりやすい食生活などの生活習慣、セルフケアの不足、歯科医院での定期的なメンテナンスの不足(欠如)など。
堀医師によると、日本人が歯を失っていくスピードは、40代くらいまでは、歯科先進国であるスウェーデンと比較してもあまり変わりがないそうです。ところが、日本では、40代以降から歯を失う人が急激に増えてくるとのこと。その結果、スウェーデンでは、80~89歳の歯の平均残存本数が21本であるのに対し、日本では、80歳で平均6.8本しか残っていないというのです。
「すでに世界的には、治療より予防を重視した先端医療が導入されています。しかし、日本の保険制度では予防のためのケアは保険適用外です。特に歯科の保険診療は決められた手法、決められた材料、保険で認可されたものしか使えません。それが、時代に合わせて進歩すればいいのですが、治療法や使用材料は、わたしが開業した30年前とほとんど変わっていませんね」(堀医師)
堀医師は、地域に根差した保険診療の歯科医院を25年間続けてきました。しかし、「保険診療では、歯の健康、患者さんの健康を守れない」と保険医療機関の指定を返上し、理想の歯科診療を行うため、別の場所に自由診療の歯科医院(サウラデンタルクリニック)を開設したのです。