東京五輪の野球日本代表は8月7日19時から横浜スタジアムで、金メダルをかけてアメリカと決勝戦を行なう。予選リーグ初戦のドミニカ共和国戦から4連勝の日本は4点、7点、7点、5点と打線が機能している。その中で、全試合で4番に座っているのが鈴木誠也(広島)だが、ヒットはアメリカ戦のホームラン1本だけで、打率0割6分7厘と苦しんでいる。それでも、鈴木の打棒に全幅の信頼を置く稲葉篤紀監督は、オーダーを変えずにここまで戦ってきた。
不調でも最後に打棒が爆発した例もある。2009年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)ではイチローが本調子ではなかったが、決勝の韓国戦で4安打を放ち、延長10回表には試合を決める2点タイムリーを打った。プロ野球担当記者が話す。
「ただ、イチローの場合は2次ラウンド2戦目のキューバ戦から準決勝のアメリカ戦まで3試合連続ヒットを放っていましたし、徐々に調子は上向いていた。東京五輪の鈴木誠也は準々決勝のアメリカ戦でホームランを打って、乗っていくかと思われましたが、その後は5打数ノーヒット。準決勝の韓国でもランナーを置いた場面で3度凡退している。ちなみに、今年はシーズン中も得点圏で2割3分7厘とあまり打てていない。どうしても、4番にはチャンスで打席が回ってくる。控え野手が4人しかいないですし、守備力を考えてスタメン落ちはないでしょうけど、もう少し気楽な打順で打たせる選択肢もあると思います」(以下同)
鈴木誠也の短期決戦を振り返ると、2017年のWBCでは14打数3安打で2割1分4厘、0本塁打、0打点に終わったが、2019年のプレミア12では27打数12安打で4割4分4厘、3本塁打、13打点を放ち、MVPを獲得した。
「稲葉監督は2017年のWBCでも打撃コーチを務めていましたが、監督として宙に舞ったプレミア12の活躍が目に焼き付いているのでしょう。ただ、短期決戦での鈴木誠也は良い時と悪い時の差がハッキリしています。日本シリーズでは、日本ハムと戦った2016年が18打数4安打で2割2分2厘、0本塁打、2打点と打てませんでした。しかし、ソフトバンクと戦った2018年は22打数10安打で4割5分5厘、3本塁打、6打点と活躍し、敢闘賞に輝いています」
良いデータを挙げれば、決勝の舞台となる横浜スタジアムでは今季10打数3安打で3割、昨季も43打数13安打で3割2厘と相性はいい。