ライフ

夏の風物詩「スイカ」に要注意 誤嚥性肺炎や脱水症状を招く恐れも

スイカを食べる際に注意しておきたいことは?(写真はイメージ)

スイカを食べる際に注意しておきたいことは?(写真はイメージ)

 暑い夏にはスイカを食べたいという人も多いだろう。しかし、スイカには健康を脅かす危険性があると大阪市立総合医療センター腎臓・高血圧内科の森川貴医師はいう。

「スイカは成分の90%以上が水分ですが、カリウムが非常に多く含まれています。カリウムはナトリウム(塩)を尿で排出しやすくして血圧を調整したり、心臓の動きに関係したりする大切な物質です。健康な方なら問題ない含有量ですが、腎機能が衰えている人は別。尿からカリウムを上手く排出できないため、スイカを食べると体内にカリウムが溜まってしまう『高カリウム血症』を発症することがあります」

 高カリウム血症は、手足や唇の痺れ、不整脈、胸の痛み、悪寒や吐き気といった症状が現われ、最悪の場合は心室細動を起こして心停止することもあるという。

果肉が気管に入りやすい

 スイカはほかにも様々な病気を招くリスクがある。まず気をつけておきたいのが「誤嚥」だ。スイカはその性質上、誤嚥を起こしやすいという。

 誤嚥した食べ物や汁が気管に侵入すると雑菌が繁殖し、「誤嚥性肺炎」を招く恐れがある。厚労省の「人口動態統計月報年計」(令和2年)によると、誤嚥性肺炎による死者数は全国で約4万3000人。死因の項目では第6位となっている。

 本誌・週刊ポスト前号(2021年8月13日号)ではやはり夏の味覚の「そうめん」を食べることで誤嚥性肺炎が生じる可能性を報じたが、スイカにも同様のリスクが潜んでいる。

 命の危険に直結しなくとも、スイカが体調不良の原因となるケースはままある。都内在住の67歳の男性Aさんは今夏、家族とともに昼食後スイカを8分の1切れほど食べたところ、30分後に異変が起きた。

「急にお腹が痛くなって、トイレに駆け込みました。普段は快便なのですが、この時ばかりは下痢になって困りました。それも30分以上も止まらない状態が続いて……。孫が遊びに来ていたのにトイレに閉じこもっていてかっこ悪かったですね」(Aさん)

 健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏が指摘する。

「高齢になると胃腸機能が低下します。スイカは水分が多く、便中に混じって下痢症状を起こしやすい。また、冷やして食べることが多い点も問題です。高齢で筋肉が少ない人ほど体が冷えやすい傾向があるので、スイカを食べるとお腹を壊しやすいんです」

 本誌・週刊ポスト(2018年8月3日号)で特集した「60歳から食べてはいけない食品」でも、多くの専門家が下痢との因果を指摘したのが、夏場のスイカだった。

「酷暑になるほど疲労も蓄積しやすく、夏バテしている方も多いので、いつも以上に胃腸が弱まっている。そのことも拍車を掛けるのでしょう」(望月氏)

 デザートにスイカを食べる人も多いだろうが、食事との相性にも気をつけたい。

 大阪府在住の70歳の男性Bさんは、夏場になると夫婦で食後にスイカを食べるのが楽しみだった。だが、年を重ねるごとにおいしさよりも「胃もたれ」を感じることが多くなったという。

「気持ち悪くなって、時には戻してしまうこともありました。年齢的にも胃腸が弱くなったなぁと感じることはありましたが、どうにも油っぽいものを食べた後にスイカを食べると起きやすいんですよね。天ぷらや唐揚げなど、揚げ物を食べた後はとくに顕著でした」(Bさん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン