賛否両論の中で行われた東京五輪。いざ始まると、選手たちの雄姿に心奪われるのは、これまでの大会と同様だ。一方、大きく変わったのは、アスリートの奮闘を手元にある小さな画面で見つめている人も多かったことだ。
NHKをはじめとして各局が「スマホ視聴」に力を入れているほか、選手たちもインスタライブやTikTokなどに動画を投稿し、会場の熱気をリアルに配信している。
1964年の東京五輪では、視聴者はテレビを通じて競技者の活躍を応援したが、今回の五輪はスマホが主役だ。手元の小さな画面から、アスリートの躍動を通じて無限の夢や希望、可能性が伝わってくる。東京五輪は期せずして、テクノロジーの発展を知らしめる場になったのだが……。
東京五輪に限らず、いまやスマホで動画を見ることは当たり前になった。ニールセン デジタルのレポートによると、スマホの動画視聴の月間平均利用時間は2019年6月時点で7時間13分に達している。同調査によれば、スマホの「動画視聴率」は、5年間で4倍に急増したという。現在はさらに劇的に増えているはずだと指摘するのは、ITジャーナリストの三上洋さんだ。
「2020年から続くコロナ禍により、ミュージシャンのコンサート配信や、歌舞伎や落語の舞台配信といったオンラインのコンテンツが充実しました。さらに有名芸能人が続々とYouTubeに参入したことや、今年に入ってすぐにドコモ・ソフトバンク・auの大手キャリア3社がこぞって格安スマホの利用料金新プランを発表したことも、スマホ動画の利用者を増やしました」