今年5月に出版された婚活ルポ『57歳で婚活したらすごかった』(新潮新書)が話題だ。著者である石神賢介氏は、ちょうど10年前の2011年、前著『婚活したらすごかった』(同)を上梓した。還暦目前の57歳となっても、40代、時には30代とのマッチングに成功し、デートを楽しんでいる石神氏。多くの良い出会いがあっても、成婚に至らない理由とは——? そこには、婚活中の人間であれば誰でもはまりかねない「婚活アリ地獄」の罠があった。
年下にアプローチするときは、痛みを覚悟しないといけない
——石神さんは現在57歳ですが、ひと世代下の40代にアプローチすることが多いそうですね。
石神:ネット連載中、「50代が30代、40代と付き合おうとするのは傲慢だ」と読者にすごくdisられました(笑)。でも実際のところ、それくらい年下の人ともたくさん出会えています。僕は年下が好きというよりは、同世代の女性に苦手意識があるんです。というのも僕と同世代の女性はバブルを経験しているから、男性に求めるレベルが下の世代よりも高いことがあるんです。
初対面にもかかわらず、リッツ・カールトンやパークハイアットのような高級ホテルのレストランを指定されたり……。最初の頃は僕も気が小さいので従ってしまいましたが、最近はそういう流れになった時点でフェードアウトしています。
——一方で、石神さんは「年配のオヤジが自分よりも若い世代の女性にアプローチするときには痛みを覚悟しなくてはいけない」とも綴っています。
石神:16歳年下の41歳の女性とデートしたあと、僕の何かが気に入らなかったのか、「クソ老人」とLINEで罵倒されたことがあります。かなり傷ついた出来事でした(笑)。30代後半〜40代前半の女性とも普通にお会いできるし、お付き合いも成立しますが、婚活を始めたばかりの40代の頃は、年下にけっこう物を買わされていました(笑)。ヴィトンの限定の財布やら、8万円のブーツやらスーツやら……。
ただ、自分で気をつけるようになると、そういうこともなくなりました。さっき言ったように今は高級ホテルを指定されるようなことがあれば、その時点でやりとりをやめます。早めに危険を察知できるようになったのかもしれません。