野球の日本代表「侍ジャパン」を率いるという大役を次に担うのは誰か──。東京五輪で悲願の金メダルを手にした稲葉篤紀監督は勇退する予定で、今後人選が行われていく。北京以来、3大会ぶりに五輪の競技種目に復帰した野球だが、2024年のパリでは除外される。2023年開催予定のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)制覇が大きな目標となる次期監督候補には、元広島監督の緒方孝市氏や元巨人監督の高橋由伸氏、日本ハムの栗山英樹監督、元ヤクルトヘッドコーチの宮本慎也氏などの名前が挙がっている。プロ野球担当記者が話す。
「まず、今回の稲葉氏、前任者の小久保裕紀氏のように監督経験のない人物を据えることは避けるのではないでしょうか。やはり監督業は経験がモノを言う世界。日本代表の監督というととてつもない重圧ですからね。
稲葉監督も小久保監督も采配を疑問視されることもありましたが、監督経験がないわけですから仕方なかった面もあります。また、東京五輪の金メダル獲得は素晴らしいことですが、6か国しか参加しておらず、メジャーリーガーが出場してないことは覚えておかないといけない」(以下同)
2013年、侍ジャパンの監督に就任した小久保氏は自著『開き直る権利』(朝日新聞出版)で、監督就任を打診された時のことを綴っている。
「どうして、コーチ経験もない僕に白羽の矢が立ったのですか?」と聞くと、交渉担当者に『さわやかであること』『現役時代からのキャプテンシーが魅力的であること』などを理由に挙げられたという。2017年、侍ジャパン強化委員会は『求心力』『短期決戦対応力』『国際対応力』『五輪対応力』を基準に並べ、稲葉氏を選出している。
「稲葉氏は北京五輪に選手として参加し、小久保ジャパンで打撃コーチを務めていましたが、指揮官として『国際対応力』『五輪対応力』があるのか、どう判断したのか不明瞭だった。『短期決戦対応力』もあまりに未知数。これらは建前で、稲葉氏の抜擢も小久保氏と同じように“さわやかさ”を基準の1つにしていたのではないでしょうか。大っぴらに言えないだけで、強化委員会には『代表監督はイメージが大事で、スポンサーの獲得も必要』と考えていると思います」