唐の時代に伝来し、日本で独自に花開いた茶道。長い歴史を持つ「抹茶」がいま、海の向こうで爆発的に流行している。伝統的な日本文化としてではなく、新たな「スーパードリンク」として、注目を浴びているのだ。海外セレブやアスリートも愛飲する抹茶には、私たち日本人がまだ知らない、スゴすぎる健康効果が隠されていた!
アメリカには、歌手のジャスティン・ビーバーやビリー・アイリッシュなど、名だたるセレブが足しげく通うカフェがある。
その名も『Matcha Bar』。2人の実業家が「学生時代、試験勉強をするときに抹茶を飲むと目がさえた」という経験をきっかけにニューヨークで始めたこのカフェでは、日本でも定番の抹茶ラテや抹茶のスイーツのほか、抹茶を使ったエナジードリンクまで販売している。ほかにも、『Cha Cha Matcha』『CHALAIT』など、ニューヨークには抹茶専門のカフェがずらりと並ぶ。いま、海外では抹茶が大ブームなのだ。
7月27日には、ドイツの陸上短距離選手でモデルのアリカ・シュミット選手が、東京五輪選手村の食堂のバイキングで「抹茶わらびもち」が提供されたと、自身のインスタグラムでハートマークつきの写真を投稿したことが話題になった。
コーヒーよりすごい! 日本人の知らない抹茶の力
「お茶博士」として知られる、大妻女子大学のお茶大学校長の大森正司さんによれば、いまや抹茶は、日本より海外諸国で多く飲まれている。
「現在、日本のお茶の生産量は8万tほどですが、海外諸国の合計は毎年10万トン以上増えています。『MATCHA』がそのまま英単語として定着しているほどです」(大森さん・以下同)
抹茶は玉露と並ぶ「緑茶の王様」。おいしいだけでなく、その作用も、ほかの飲み物とは一線を画している。
エナジードリンクの原料として使われるだけあって、抹茶に含まれるカフェインは、1杯(茶葉約2g)あたり64mgと、コーヒーに匹敵する。しかし、飲んだときに摂取できるカフェインの量は、コーヒーよりも多いという。
「コーヒーは粉砕した豆を煮出すのに対し、抹茶は乾燥させた茶葉を石臼で粉末状にして、そのままお湯に溶いて飲む。お湯に抽出されるカフェインの量はコーヒーの方が多いですが、抹茶は茶葉ごと飲むので、結果的により多くのカフェインを摂ることができるのです。カフェインには、覚醒作用のほかに、脂肪の燃焼を助ける働きもあります」