国内

河村市長に噛まれた金メダル交換に、後藤投手の意向はどれだけ反映されているのか

(時事通信フォト)

悪ノリでは済まされなかった(時事通信フォト)

 本人の思いとは裏腹に日本中を震撼させることになったメダル噛み事件。コラムニストのオバタカズユキ氏が考察した。

 * * *
 キモい、グロい、気持ち悪い、臭い、汚い、不衛生すぎる、吐き気がする、ゾッとする、正視に耐えない……。

 以上は、河村たかし名古屋市長がやらかした例の行為に対し、ネット上で噴出した言葉の代表的なところだ。これらに共通しているのは、圧倒的な生理的嫌悪感である。河村市長が表敬訪問に訪れた女子ソフトボール日本代表の後藤希友投手の金メダルに無断で噛みつき、その様子が動画ないし写真で広く知らされるや、たちまち悲鳴に近い非難の言葉が湧きまくった。

 たしかに私もその動画を目にした瞬間、このオヤジ何をやらかしているんだと驚いたし、全体の半分ほどが口中に押し込められた金メダルにきっと付着してしまったであろう唾液を想像して、汚ねえな、嫌なもん見せられちまったなと感じた。後藤投手が気の毒だとも思った。

 しかし、少し考えて、こうも思った。もしメダルに嚙みついたのが河村市長ではなく、すばらしく爽やかなイケメン俳優であったとしたらどうだろう。例えば、佐藤健なら? 斎藤工だったら? もしくは山下智久とか?

 噛みつき方にもよるが、いずれの場合も、生理的嫌悪感は相当薄まるのではないだろうか。それが佐藤なり斎藤なり山下なりのファンの感覚だったら、金メダルにさらなるプレミアがつくぐらいの話になりかわりはしないか。

 河村市長は72歳である。上記のような若い男たちとの比較はあんまりだと言うのなら、竹野内豊(50)ではいかが? 西島英俊(50)は? まだ若すぎるか。ならば、いささか癖は強くなるが、舘ひろし(71)だったらどう?

 人によって好悪の抱き方が違うのは当然だとしても、数多くのアンケートをとれば、噛まれても「気にならない」「むしろ嬉しい」などの回答がかなり多いはずである。なぜなら、上記した6人の俳優全員は『週刊女性』の「抱かれたい男ランキング」で上位に食いこんだ面々だからである。

 ちなみに同誌は「癒されたいランキング」も発表しており、そこにランクした芸能人に明石家さんま(66)がいる。さんまのあの前歯でメダルが噛まれたらどうか。笑って済ます人のほうが多いのではないか。同じくランクインしている所ジョージ(66)だとしても然りであろう。

 要は、生理的嫌悪感は行為そのもので決まるのではなく、例えば噛む人によってまったく好悪がかわってくる相対的なものだということだ。ゆえに、河村市長が後藤投手の金メダルに無断で噛みついたことはなるほど非常識なのだが、その非常識さゆえに大バッシングされたのではなく、市長の見た目や佇まいや醸し出す雰囲気などが、残念ながらマイナス評価のほうに傾きやすい部類だったので悲鳴があがったのだ。市長の権力をいいことに、なんたることをしたのだ、キモい、グロい、気持ち悪い……と想定外の大不評を買ったのである。

 でも、そんなふうに相対的な問題なので、肝心の当事者である後藤投手が、実際にどう感じていたのかは分からない。噛みつきの現場では、リアクションとして「ワハハ」と笑っていたが、それは恐らく彼女の社会性がそうさせたのだろう。その後、メダルを持ち帰って、噛まれてしまったことをどう感じたのかは、彼女がその思いを発信でもしない限り、当人以外には決して分からない。

 しかし、私を含めた我々の大半は、そんな話などおかまいなしに、圧倒的な生理的嫌悪感を示し、彼女に同情した。そして、そのうちの少なからずがネット上で事態を嘆き、河村市長に罵詈雑言を投げ続けた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
「2024年に最もドッキリにかけられたダマされ王」ランキングの王者となったお笑いコンビ「きしたかの」の高野正成さん
《『水ダウ』よりエグい》きしたかの・高野正成が明かす「本当にキレそうだったドッキリ」3000人視聴YouTube生配信で「携帯番号・自宅住所」がガチ流出、電話鳴り止まず
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
(左から)「ガクヅケ」木田さんと「きしたかの」の高野正成さん
《後輩が楽屋泥棒の反響》『水ダウ』“2024年ダマされ王”に輝いたお笑いコンビきしたかの・高野正成が初めて明かした「好感度爆上げドッキリで涙」の意外な真相と代償
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
フィリピン人女性監督が描いた「日本人の孤独死」、主演はリリー・フランキー(©︎「Diamonds in the Sand」Film Partners)
なぜ「孤独死」は日本で起こるのか? フィリピン人女性監督が問いかける日本人的な「仕事中心の価値観」
NEWSポストセブン
timelesz加入後、爆発的な人気を誇る寺西拓人
「ミュージカルの王子様なのです」timelesz・寺西拓人の魅力とこれまでの歩み 山田美保子さんが“追い続けた12年”を振り返る
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
(SNSより)
「誰かが私を殺そうとしているかも…」SNS配信中に女性インフルエンサー撃たれる、性別を理由に殺害する“フェミサイド事件”か【メキシコ・ライバー殺害事件】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
女性2人組によるYouTubeチャンネル「びっちちゃん。」
《2人組YouTuber「びっちちゃん。」インタビュー》経験人数800人超え&100人超えでも“病まない”ワケ「依存心がないのって、たぶん自分のことが好きだから」
NEWSポストセブン