立っている乗客が身体を支えるためにつかまるもののひとつに、つり革がある。揺れが大きくなると、思わず手を伸ばしてつかんでしまうものだ。これを我慢することをネタにしてお笑いコンビ、マヂカルラブリーは笑いを巻き起こした。そして、このネタをもとにした新しい企画「野田クリスタル選手権」が放送され、話題を集めている。ライターの小川裕夫氏が、選手権の舞台となった小湊鉄道に撮影用に提供した車両について聞いた。
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マヂカルラブリーはM-1グランプリ2020の決勝ラウンドで「電車内でつり革につかまりたくない」というネタを披露して優勝。ネタでは、激しく揺れ動く電車内で無意味に踏ん張る様子をコミカルに演じた。
揺れる車内では、安全の観点からつり革や手すりにつかまることがある。また、周囲への配慮もあるだろう。しかし、新型コロナウイルスの影響もあって、近年は電車内でつり革や手すりに捕まりたくないと感じる人は増えている。
そんな中、8月11日に『水曜日のダウンタウン』(TBS系列)の番組内で、「つり革を掴むな 野田クリスタル選手権」がオンエアされた。同企画は、言うまでもなく2020年のM-1優勝ネタをリアルに再現する内容だった。
選手権は前半の小湊鉄道と後半のオフロードを走るバスの2回に分け、前半では揺れる電車内でどれだけ耐えられるのか? を競った。
M‐1のネタは箱根登山鉄道を舞台にしていて、選手権の舞台となった小湊鉄道ではない。それでは揺れないのではないかというと、そんなことはない。小湊鉄道も、房総半島の丘陵地を走ることから列車は激しく揺れる。箱根登山鉄道のように目立ったアップダウンはないが、テレビ画面を通じて激しく揺れている様子は視聴者でも感じることができただろう。
「M-1ネタが箱根登山鉄道の設定であることは知り合いから聞いて知っていました。小湊鉄道は、東京から近いという撮影の事情から選ばれたのではないかと思っています。番組では大きく揺れる車内がクローズアップされましたが、これは地形によるところが大きいと考えています。決して車両が古いとか、線路のメンテナンスが行き届いていないからではありません」と話すのは、小湊鉄道の担当者だ。
鉄道事業者は定期的に車両を検査し、線路を整備している。それは小湊鉄道も同様だ。メンテナンスに手を抜くことは許されない。