6月に「貯金20」を築き、前半戦をセ・リーグ首位で折り返した阪神は、2005年以来となる優勝を成し遂げるのか。阪神のV戦士OBである中西清起氏、広澤克実氏、八木裕氏の3人が、阪神優勝に向けた後半戦について語る。【記事全4本の1本目】
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──2005年以来の優勝を果たすために、後半戦のカギはどこになりますか?
中西:2005年は、4番の金本(知憲)、20勝投手の井川(慶)と、2003年のリーグ制覇を知る選手が投打の核だった。そういう意味では、去年までいた福留(孝介)や能見(篤史)といった不調の時にチームをまとめられるベテランが抜けたのは不安やね。勝負所の9月、10月を2位に5ゲーム差はつけた状態で迎えたい。だからこそ後半戦スタート直後の戦いは大事やと思う。
八木:佐藤輝明効果か分かりませんが、前半戦は打線が凄く好調でしたよね。勢いを持続するには、やはり打線が機能しないといけない。後半戦でポイントになるのは大山(悠輔)だと思います。大山が打たないと“4番をどうする?”という話でゴチャゴチャしてしまって厳しいでしょう。
中西:たしかに、今年は固定メンバーで開幕ダッシュが決まった。選球眼のいいマルテが3番で、4番大山、5番サンズと続き、気を抜くと6番で佐藤がガツンといく。打線のつながりがよかった。前半戦の終わりのほうでゲーム差を詰められた時は、マルテやサンズに4番を打たせたりと、打線をいじらないといけない状況だったもんな。
広澤:(八木氏に向かって)はっちゃんは佐藤をどう見てるの? 五輪中のエキシビションマッチでは打っていたけど。
八木:ピッチャーがどれくらい真剣に投げているか分かりませんけど、5試合で5本塁打かと思えば、三振の山も築いている。1年目だから三振もある程度はいいと思いますけど、後半戦も主力として出続けるなら、直していかないといけない部分ですね。
広澤:能力が高いのは間違いないけど、頑固だよね。あれだけ真っすぐに詰まらされたら、普通はストレート一本に狙いを絞りそうなものなのに、それをしない。
八木:佐藤は真っすぐを狙いにいっているけど、打てないんだと思いますよ。真っすぐを空振りした時は、悔しそうな顔をしていますから。高めのストレートを打ち出したら本物だと思いますね。
広澤:じゃあ、今はストレート狙いのところにきた変化球をホームランにしているということ?
八木:そうですね。変化球でもボール球なら空振りですけど。
広澤:なるほど。ボクには変化球を待つタイミングでストレートをさばこうとしているように見えるけど、真っすぐが打てないという分析は一緒だね。
中西:ピッチャーの目線で言うと、あれだけ崩されながらでも飛ばせるのはやっぱり脅威。一発のある選手は嫌ですよ。問題は三振の中身だよね。とんでもないボール球を追っかけての三振はダメでしょう。