電撃的な移籍だった。8月20日、日本ハム・中田翔(32)の巨人への無償トレードが発表された。中田は4日、函館で行われたDeNAとのエキシビションマッチ前にチームメイトに暴行を働き、球団から出場停止処分を受けていた。16日には、日本ハム・栗山英樹監督が「正直、このチームでは難しいかな」と移籍をほのめかしていた。中田の移籍発表に伴い、日本ハムは20日で出場停止処分を解除すると発表した。プロ野球担当記者が話す。
「12球団で、中田を上手く扱えて、更生させられるのは原辰徳監督しか見当たらない。このまま日本ハムが解雇して、独立リーグなどに行ってもまた同じような事件が起こるかもしれない。中田の将来まで考えて、リスクを承知で引き取ったのだと思います。原監督は栗山監督に以前ヘッドコーチの話を持ち掛けたこともあるくらい懇意の仲ですから、事情や中田の性格をよく聞いているでしょう。巨人に来れば、髭も茶髪も許されない。そういう環境から出直すのが一番いいのかもしれません」(以下同)
原監督が2002年に初めて就任した時、巨人には清原和博がいた。そして43歳の若き指揮官は清原のプライドを尊重しながら、見事に指揮を執った。この年の清原はケガで55試合の出場に留まったが、印象的な活躍をしている。6月13日のヤクルト戦では高津臣吾から代打同点2ランを放つと、原監督がベンチ前で抱きしめた。清原は西武との日本シリーズで第1戦に松坂大輔から東京ドームの看板を越える特大2ランを放つなど日本一に貢献。優秀選手賞に輝いた。
「オフに松井秀喜のメジャー挑戦が決まると、原監督は大阪で行われた日本一の祝勝会の席で『来季の4番は清原で行きます』と宣言。敢えてマスコミのいる前で発表しました。その数日前、松井の後釜としてヤクルトからペタジーニを獲得していましたから、清原は余計に嬉しかったでしょう。原監督はどのタイミングで、どういう言葉を掛ければ選手がやる気になるか把握している。一方で、手綱を締める時はきちんと締める。ヘッドコーチ時代には、清原を叱れる数少ない存在でした」
原監督は今年、3年契約の3年目を迎えている。来季に関して続投という話は現時点では出ていないが、中田獲得によって、原監督がまだまだ続投すると考えられる。