昨年8月をもって16年間所属したオスカープロモーションを退社した女優・福田沙紀。フリーとなって初の主演映画『シュシュシュの娘(こ)』が8月21日に公開される彼女は、どのような思いでリスタートを切ったのか。福田本人と『シュシュシュの娘』を企画した入江悠監督に話を訊いた。
地方都市を舞台とした映画『シュシュシュの娘』は、福田沙紀が演じる市役所勤務の主人公・鴉丸未宇(からすま・みう)が、市政に蔓延る不正や理不尽な犠牲を受けて密かに立ち上がる物語。奇想天外なストーリーと個性豊かな登場人物の活躍が痛快な娯楽作品だ。劇中で福田が披露するオリジナルダンスも見どころの一つとなっている。
入江監督にとって10年ぶりの自主映画でもある本作は、コロナ禍の煽りを受けて苦境に立たされたミニシアターを支援するために監督自身が立ち上げた企画が出発点になっている。昨年6月に出演者の募集が告知されると、2500人を超える応募が殺到。その中から主演の座を手にしたのが福田だった。
これまで数多くの商業映画やテレビドラマの世界で活躍してきた彼女は、なぜ“ミニシアターを支援するための自主映画”というある意味では特殊な作品に挑戦したのだろうか。応募の経緯についてこのように振り返る。
「最初にオーディションを知ったのはTwitterで知り合いが募集ツイートを“いいね”していたのがきっかけでした。もともと私は韓国映画が好きで、入江監督が韓国映画をリメイクした『22年目の告白 ─私が殺人犯です─』もすごく好きだったので、『ええ! オーディションやるの!?』と驚いてしまった。『これは絶対に応募したい!』と。
当時は私はまだ事務所に所属していたんですけど、退社することはすでに決めていたので、事務所から許可を得た上で応募メールを監督に送りました。オーディションに応募するためにフリーで活動する時に使う個人用メールアドレスも作ったんです」(福田沙紀)