国内

自粛を呼びかけるテレビ局スタッフのコロナ対策はなぜ甘いのか

東京五輪閉会式のフィナーレ。担当したプロジェクト無事完了でも打ち上げは我慢(イメージ、時事通信フォト)

東京五輪閉会式のフィナーレ。担当したプロジェクト無事完了でも打ち上げは我慢(イメージ、時事通信フォト)

 誰でも間違いは起こすものだし、失敗を挽回するチャンスもあってよいと思う。だが、その失敗が組織の体質から生まれている疑いが持たれているなら、通り一遍の謝罪では不信感を募らせるだけだろう。緊急事態宣言下で夜通しの宴会をしたあげく大ケガを負い、救急車が出動したテレビ番組スタッフたちによる騒動をきっかけに、自粛を呼びかける一方で働く人たちのコロナ対策意識が捻れている現実について、ライターの宮添優氏がレポートする。

 * * *
 東京五輪の番組を担当したテレビ朝日社員や外部スタッフらが、閉会式があった8月8日夜から9日未明にかけて複数人で飲酒などをして、女性一人が怪我を負い救急搬送された騒動。緊急事態宣言下であり、視聴者に「自粛」を促す番組を放送していながら、テレビ局スタッフの極めて甘い認識に猛批判が集まっている。ところが「警察沙汰になったから報じられただけ」と吐き捨てるのは、在京キー局の人事部担当社員(40代)だ。

「テレ朝だけではありません。どの局でも、怪我人までは出していませんが、少なくない社員やスタッフたちが、打ち合わせなどと称してこっそり飲みに出かけています。テレ朝スタッフは普通に営業している店で、朝までカラオケを楽しんでいましたが、テレビ局員向けにこっそり開けているお店もあるほどです」(在京キー局人事担当社員)

 在京キー局ともなれば、本社には数千人規模の社員やスタッフが常駐し、近隣の飲食店、居酒屋にとっては太い太い「お得意様」となる。コロナ前に「テレビ局頼み」だった飲食店も休業や時短営業に追い込まれていたが、細々と、そして今もこっそり営業を続けている。それは、やはりこっそり酒を飲みにやってくるテレビ局関係者を迎えるためであるという。複数の在京キー局が本社を構える、東京・港区内の居酒屋店主(60代)が声を潜める。

「同じビルのフロアにあるスナックには、今も某局の社員や新聞記者が通っています。取材対象者との会合や、テレ朝のように、オリンピック担当者が打ち上げで来ているのを目撃したこともあります」(居酒屋店主)

 在京キー局に出入りする制作会社スタッフ(30代)が、テレビ局のダブルスタンダードについて憤慨しつつ打ち明ける。

「テレビは盛んに自粛だ、外に出るなと言っていますが、テレビ局の中はスタッフで溢れています。出社する人数を減らす、会議はリモートで、などのかけ声がかけられていますが、実際にはリモートにならない打ち合わせや会議があって、そこはいつも密状態だし、狭い室内でゲラゲラ声を上げ、仕事の話をしながらランチを取っています」(制作会社スタッフ)

 さらに、特に頻繁に出入りしているキー局では、前代未聞の事態が発生しているとも説明する。

「そんな状態だから、スタッフの感染防止に対する意識も希薄で、某番組の若いスタッフが複数人で丸一日飲み明かしたらしく、それで全員がコロナに感染。濃厚接触者が続出し、番組制作に支障が出るほどだったそうですが、表沙汰にはなっていません。別の局のあるフロアでも、防護服姿の人たちが座席の消毒作業をやっていて、また(感染者が)出たか、とため息をつきつつも、密な状態で仕事を続けている」(制作会社スタッフ)

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン