「さっき食べたのに、もうお腹が空いた」「食べても食べても、なんとなく物足りない」「つい、お菓子やカップラーメンばかり食べてしまう」──こんな人は「食物依存症」かもしれない。アメリカ在住の内科医・大西睦子さんは警告する。
「食べることがコントロールできなくなることを『食物依存症』といいます。単なる食べすぎとは違って、ここでいう危険で注意が必要な食べ物とは、習慣的に食べすぎてしまい、さまざまな健康被害を引き起こすものを指します」(大西さん)
米ミシガン大学は18才から64才の参加者を対象に、さまざまな栄養成分を持つ35種類の食品リストから、食物依存症になりやすい食品を調査した。ランキングを見ると、1位はピザ、2位はチョコレート、3位はポテトチップス、4位はクッキー、5位はアイスクリームと続く。一方で、きゅうり、にんじん、豆、りんご、玄米といった食品は依存度が低かった。自然の状態の食べ物ほど依存度が低く、加工度が高い食品ほど依存の問題があることは一目瞭然だ。
一方、今回5人の食の専門家たちに「日本人が中毒になりやすい食品」を聞いたところ、1位が「インスタントラーメン、ラーメン」で、以下「じゃがいもの加工スナック」「チョコレート」「エナジードリンク」「清涼飲料水」「唐揚げ、フライドチキン」「菓子パン、ケーキ」「餃子」「カレー」「ゼロカロリー飲料」の順となった。油や糖質、塩の“しょっぱさ”もまた“中毒性”が高い。
ラーメンは塩分が高く、体に良いイメージを持っている人は少ないだろうが、じゃがいもを加工したスナック菓子は、ある意味でラーメン以上の危険を備えている。薬食フードライフ研究家の沢木みずほさんはいう。
「油で揚げることでコクのある旨みを出すことができるため、仮に質の悪いじゃがいもであってもおいしく食せる。さらに塩や旨み成分で調味されるため、塩分の過剰摂取などで高血圧の要因にもなり、さらに、油は熱を加えることで有害物質ヒドロキシノネナールが生まれることもわかっている。また、じゃがいもを加工したスナック菓子は、独特の食感がさらに中毒性を加速するという問題点もあります」(沢木さん)
チョコレートは、砂糖の甘みに加え、香料や乳化剤が使われている。
「チョコレートの主成分であるカカオ豆には、抗酸化作用が高いポリフェノールも含まれていますが、苦みがあるので、それを食べやすくするために砂糖が多量に使われています。また、チョコレートの香料によく使われるバニラ香は、主成分のバニリンを主体に、複数の成分を組み合わせて作り出されている。さらに、多くのチョコレートに使われる『乳化剤』は、水と油という本来なら混じり合わないものを混ぜ合わせるための添加物です。乳化剤の働きは、洗剤を作るときに使う界面活性剤と同じです」(沢木さん)