【著者インタビュー】飯間浩明さん/『気持ちを表すことばの辞典』/ナツメ社/1540円
【本の内容】
《本書には、知っておくと役立つ「気持ちを表す言葉」を整理・分類して、意味分野ごとにまとめて示しました》と「はじめに」にあるように、見開きごとに「喜ぶ」「心配になる」「気分がよい」などの気持ちを表す言葉が、252%さん、ツヅキエイミさんのかわいい挿絵とともに掲載されている。飯間さんによる8本のコラムからも日本語の面白さ、奥深さが伝わってくる。
気持ちを伝えることは非常に難しいからこそ
『気持ちを表すことばの辞典』は、読んで面白い辞典だ。自分の気持ちの奥に分け入って、こういうときの感情はこう表現すればいいのかと、一番ぴったりくる言葉を探すことができる。
三省堂国語辞典の編集委員で、言葉にまつわる親しみやすいエッセイでもおなじみの飯間浩明さんが監修にあたっている。
「われわれがどうして言葉を使うのかって考えると、1つは情報を伝えるためで、もう1つ大事なのが自分の気持ちを伝えるためですね。客観的な情報や、論理的にこうだからこう、と伝えるだけでなく、話している自分の気持ちの奥底にあるものを伝えたくて言葉を使うわけです。
自分の気持ちを伝えるというのは非常に難しい。つかみどころがなく、自分自身、わかっていなかったり、相手のことが心配なのに、つい、きつい言葉を投げてしまったりします。
私自身、周囲の人とのちょっとした誤解を日々くり返し、そのたびに反省します。今日、こういうことがあったと事実を伝えることはできても、自分はそのときこう考えた、こういう気持ちになったんだよ、ということを表現するのはいまだに得意じゃない。同じように悩んでいる読者も多いんじゃないかと、今回の仕事を引き受けました」
著名な専門家の名前だけ借りて「監修」とする本もなくはないが、この辞典に関しては、監修者の飯間さん自身が言葉の選択や、一つひとつの例文づくりにも積極的にかかわったそうで、「どうしても人任せにできず、ついつい、『おれがおれが』というふうに口を出してしまうんです。原稿の締め切りにも遅れてしまい、本当はよくないとわかっているんですが」と飯間さん。