芸能

有村架純はなぜ人を惹きつけるか「時代の体現者」と評される女優の力

菅田将暉と映画に続き共演

演じる役が相次ぎ共感を呼ぶ有村架純

 柳楽優弥(31才)主演の『映画 太陽の子』が8月6日より公開中だ。共演に有村架純(28才)、三浦春馬さん(享年30)を迎え、日本の原爆開発を軸に、太平洋戦争下という激動の時代に翻弄されながらも懸命に生きる若者たちの青春を描いている。SNSなどの口コミには「今こそ観るべき作品」、「現代に問いかけられているような感覚」といった声が多く並ぶ。映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんは、「過去と現在の『代弁者』の役割を有村が担っていると感じた」と話す。

 * * *
 広島の原爆投下から丸76年の日に公開を迎えた『映画 太陽の子』。決して派手な映画ではないが、映画を観た多くの観客が“過去といま”との強い繋がりを感じているようで、現代を生きる人々には必見の作品となっている。筆者は、この繋がりを感じさせる重要な役割を有村が担っていると感じた。

 本作は、2020年の8月にNHKにて放送された同名ドラマの劇場版。有村がヒロインを務めたNHK連続テレビ小説『ひよっこ』や、現在放送中の『青天を衝け』などの作品で演出を担当している黒崎博(52才)が脚本と監督を務め、ドラマ版と同じく日本の原爆開発を軸としながら、ドラマ版とは異なる視点で若者たちの姿を描き出している。

 舞台は太平洋戦争末期となった1945年の夏。京都帝国大学に在籍する若き科学者・石村修(柳楽優弥)と研究員たちは、軍の密命を受けて原子核爆弾の研究開発に没頭していた。そんなある日、建物疎開で家を失った幼馴染みの朝倉世津(有村架純)が修の家に居候することになる。そこへ、修の弟・裕之(三浦春馬)が戦地から一時帰郷。幼馴染みの3人は再会を喜び、幸福な時を過ごすものの、戦況は刻々と悪化していき、立場の異なるそれぞれの思いが交差する。

 本作には、柳楽を中心に若手俳優の中でも世代を代表する存在が揃い踏み。異なる立場の人物を丁寧に演じ上げている。原爆開発に没頭する修を演じる柳楽は、研究への異様なまでにこだわりや、原爆がもたらす恐ろしさに対する葛藤、想いを寄せる世津を前にした際の心の揺れなどを、滑らかな挙動の変化で示しキャラクターに多彩な表情を与えている。修の弟・裕之を演じる三浦さんは、戦地から帰郷した際に家族の前で見せる明るい振る舞いとは対照的な、時折覗かせる“翳り”が印象的だ。彼の口にする言葉の調子や微かな表情の動きからは、前線で負った心の傷の大きさが伝わってくる。

 そして、世津を演じる有村は、修と裕之を実の兄のように慕いながらも、戦争に深く関わっている2人に対する複雑な心境を、彼らに向けたセリフと眼差しに乗せて表現している。3人がともに過ごすつかの間の幸福な時間には、「どうかこの時間がいつまでも続いて欲しい」と願わずにいられない。そう強く願ってしまうのには、有村の好演の力が大きいと思うのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場(時事通信フォト)
「日本人は並ぶことに生きがいを感じている…」大阪・関西万博が開幕するも米国の掲示板サイトで辛辣コメント…訪日観光客に聞いた“万博に行かない理由”
NEWSポストセブン
ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(dpa/時事通信フォト)
《ハイ状態では…?》ジャスティン・ビーバー(31)が投稿した家を燃やすアニメ動画で騒然、激変ビジュアルや相次ぐ“奇行”に心配する声続出
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
4月14日夜、さいたま市桜区のマンションで女子高校生の手柄玲奈さん(15)が刺殺された
「血だらけで逃げようとしたのか…」手柄玲奈さん(15)刺殺現場に残っていた“1キロ以上続く血痕”と住民が聞いた「この辺りで聞いたことのない声」【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン