スポーツ

敗れてなお存在感 明徳の馬淵史郎監督「時代遅れ」評価への反骨

準々決勝で智弁学園サヨナラ負けを喫した明徳義塾の馬淵監督(左)

準々決勝で智弁学園サヨナラ負けを喫した明徳義塾の馬淵監督(左)

 夏の甲子園で、史上初めてベスト4を近畿勢が独占した今大会。雨天順延が続いても自校の施設で調整できる“地の利”などの要因が指摘されたが、そうしたなかでその牙城を崩すところまであと一歩だったのが、準々決勝で智弁学園(奈良)にサヨナラ負けを喫した明徳義塾(高知)だった。試合後に近畿勢の強さに言及した「敗戦の弁」が注目された馬淵史郎監督(65)だが、今年のチームでは例年以上に、近畿地方の強豪私学のような“巨大戦力”に対抗したい思いがあったのではないか──ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 雨とコロナにたたられたこの夏の甲子園で、3勝を挙げて甲子園通算勝利数を54(歴代4位)にまで伸ばした高知・明徳義塾の馬淵史郎監督は、準々決勝で奈良の智弁学園にサヨナラ負けを喫し、聖地を去った。

「体が大きくなく、パワーもなければスピードもない。そんなチームがセンバツに出て、夏もこうやって甲子園にたどり着いた。170センチを切るような小さな選手が5人おっても、ここまで(準々決勝)までは戦(や)れるんだということは証明できた。バントで送って手堅く1点を取りに行く。うちがやったのは“高校野球”ですよね。全国で頑張っている球児に勇気を与えたんじゃないでしょうか。3年生には『ごくろうさん』と本心から言いたい」

 いつも甲子園を去る時には敗因をとうとうと語り、その日のうちに宿舎も引き上げて高知に戻り、翌日から練習するのが明徳義塾だ。だがこの日の馬淵監督は2002年夏以来となる日本一の夢が潰えた悔恨は抱えていても、まずは3年生に対する労いの言葉を口にしていた。

 高知大会のチーム打率は.315と低調で、盗塁は4試合でゼロ。代木大和というドラフト候補のエース左腕はいても、大阪桐蔭や智弁学園、智弁和歌山などと比べればどうしても見劣りしてしまう選手たちを、野球道場と名付けられた明徳のグラウンドで馬淵監督は鍛え上げてきた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト