スポーツ

門田博光氏が振り返る野村監督「タバコ吸いながらの説教に鍛えられた」

野村監督との思い出を門田博光氏が振り返る

野村監督との思い出を門田博光氏が振り返る

 多くの公共の場所が禁煙となっている今の時代。一方、昭和という時代を語るのにタバコの煙は欠かせない。スポーツ選手といえども喫煙者が多かったあの頃、昭和のスター選手は紫煙をくゆらせながらどんな表情を浮かべ、どんな言葉を交わしていたのか──。元プロ野球選手の門田博光氏が野村克也さんとのタバコにまつわる思い出を振り返る。

 * * *
 ノムさん(野村克也監督)はヘビースモーカーで、いつもタバコを2箱持ち歩いていました。1日3箱くらいは吸っていたんじゃないかな。いつでもタバコを吸っていて、ミーティング中もタバコを手放さなかった。

〈1969年11月、34歳の若さで南海ホークスの選手兼任監督となった野村は、入団1年目の門田博光をスタメンで起用。その後も起用し続ける一方で、自分の指示に素直に従わない門田、江夏豊、江本孟紀を「南海の三悪人」と称した。

 だが、この言葉には3人への高い評価と親しみが込められており、後に野村は「この3人に鍛えられた」と明かしている。「名将・野村克也」への修業時代を過ごしたこの時期、彼の口元には必ずタバコがあった〉

 監督兼任のストレスは相当なものだったと思います。監督室には秘密がいっぱいで選手は入れてもらえなかったけど、灰皿は吸殻で山盛りになっていたでしょうね。食堂でノムさんがタバコを吸っているときは、緊張から解放されて安心した顔をしていたのを覚えています。

 ノムさんにはよく説教されましたが、そのときも必ずタバコを吸いながらでした。

 周囲には「門田はワシが言うことの反対ばかりする」とボヤいていたそうですが、僕のような小さい体では振り回さないと打球が飛ばない。重いバットや長いバットを使うなど、ノムさんに抵抗するために試行錯誤を続けました。こんな頑固者だから“三悪人”のひとりにされちゃったんだけど(苦笑)。

「育てんとアカンのや、このチームは」というのがノムさんの口癖でした。「よそから(有名選手を)引っ張ってくるような、継ぎ接ぎだらけのチームはいらん」と、生え抜きによるチームづくりに熱心に取り組んでいた。選手との駆け引きの部分もあったと思いますが、少ない言葉で選手を奮い立たせるのが上手かったですね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“令和の小泉劇場”が始まった
小泉進次郎農相、父・純一郎氏の郵政民営化を彷彿とさせる手腕 農水族や農協という抵抗勢力と対立しながら国民にアピール、石破内閣のコメ無策を批判していた野党を蚊帳の外に
週刊ポスト
緻密な計画で爆弾を郵送、
《結婚から5日後の惨劇》元校長が“結婚祝い”に爆弾を郵送し新郎が死亡 仰天の動機は「校長の座を奪われたことへの恨み」 インドで起きた凶悪事件で判決
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
「最後のインタビュー」に応じた西内まりや(時事通信)
【独占インタビュー】西内まりや(31)が語った“電撃引退の理由”と“事務所退所の真相”「この仕事をしてきてよかったと、最後に思えました」
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬・宮城野親方
【元横綱・白鵬が退職後に目指す世界戦略】「ドラフト会議がない新弟子スカウト」で築いたパイプを活かす構想か 大の里、伯桜鵬、尊富士も出場経験ある「白鵬杯」の行方は
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
 6月3日に亡くなった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
【追悼・長嶋茂雄さん】交際40日で婚約の“超スピード婚”も「ミスターらしい」 多くの国民が支持した「日本人が憧れる家族像」としての長嶋家 
女性セブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン