「年俸120円おっさんJリーガー」として注目を集めた安彦考真(43)。昨年12月のサッカー選手としての引退セレモニーで「格闘家転身」を宣言し、今年4月にデビュー戦を勝利で飾ったあと、先日、デビュー第2戦でも輝きを放った。アスリートからファイターとして、安彦はどんな成長を見せ、この先にどんな未来を見据えているのか。
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「もしかしたら43歳の僕がリングに立つ必要はないかもしれない。でも、いまコロナ禍で苦しい状況のなか、僕がリングに立つことで少しでも世の中の人に勇気を与えたいというか、オレでもできるんじゃないかと思ってもらえたら、僕がリングに立つ意味もあるのかなって……。
僕がリングに立ったのはKO勝ちや強さを見せたいわけじゃない。たとえば、陸上の100メートルで少し前まで(日本人選手のなかには)10秒の壁があったのに、誰か1人が9秒台を出したらみんな出せるようになったじゃないですか。人間の可能性はまだまだあるし、少しでも頑張ればできるんだ、ということを僕は示したかった。試合を見てくれた人や自分の周りの人たちを沸かせ、何かを感じてもらいたかっただけなんです」
元“年俸120円Jリーガー”で、昨年12月に格闘家への転向を宣言し、ことし年末の総合格闘技RIZIN出場という新たな目標を掲げている安彦考真は、2戦連続でのKO勝ちとなった試合後に笑顔でそう話した。
8月27日に開催された経営者らが参戦するエグゼクティブ向けキックボクシングイベント『EXECUTIVE FIGHT~武士道~宙~2021』(小比類巻道場主催)。安彦はそのメインイベントとなった第9試合(2分×2R)で、格闘技歴7年でRISEやムエタイ(オープン)のアマチュア大会にも出場経験のある小比田隆太(40)をノックアウトした。