ライフ

街を彷徨う喫煙所難民たち 駐車したレンタカーで吸う猛者も

緊急事態宣言再発令で閉鎖された一般喫煙所(イメージ、時事通信フォト)

緊急事態宣言再発令で閉鎖された一般喫煙所(イメージ、時事通信フォト)

 法に違反しているわけではないが、肩身が狭い趣味嗜好がある。近年は、喫煙がそこに仲間入りした。とくに東京都内は、五輪へ向けて喫煙できる場所が大きく制限する仕組みがつくられたため、タバコを吸える場所探しに右往左往することも。喫煙者であるライターの森鷹久氏が、喫煙所難民たちの今をレポートする。

 * * *
 都内某所にある、ある大手機械メーカーの本社ビル。18時の終業から程なくしてビルの外に飛び出してきたのは、この機械メーカーに勤務する澤田良彦さん(仮名・40代)だ。一体何をそんなに急いでいるのかというと、同じ嗜好の人にはよくわかる、切羽詰まった事情があった。

「タバコですよ。もう社内には喫煙所がありませんから。コロナ以降、ほとんど全ての喫煙所が撤去され、始業前と始業後に、近くの喫煙可能な喫茶店に駆け込むんです」(澤田さん)

 健康増進や受動喫煙防止の観点からこの数年、タバコや喫煙者を取り巻く環境は激変した。そして、コロナ禍をきっかけに変化はさらにすすみ、多くの企業で喫煙所が縮小されたり撤去されるなどしている。澤田さんの会社では、昨年の冬ごろに各階ごとに設置されていた喫煙所が撤去され、喫煙所は数えるほどになった。その喫煙所も、一度に入室できるのは数人までで、10分以内に喫煙を終え部屋を出るよう、張り紙が掲出されていたというが、果たして効果はあったのか。

「喫煙所の前に行列ができて、入室人数も守られず、狭い空間で10人がひしめき合うようにタバコを吸う、という有様。上司が喫煙していると、部下は遠慮して入れず、他の喫煙所を探して歩く。そんな感じでした」(澤田さん)

 その数少ない喫煙所も、今年に入ってからほぼ全てが閉鎖された。ただ「ほぼ」であり、喫煙所は残されてもいた。

「上層階の役員フロアの片隅に喫煙所があるという情報が、喫煙者仲間の同僚からもたらされました。チャレンジしよう、ということで若手の社員が行ったそうですが、とんでもない上役の人と鉢合わせしたらしく……。結果的に、我々平社員がタバコを吸える場所は会社内にはなくなり、喫茶店というわけです」(澤田さん)

関連記事

トピックス

打撃が絶好調すぎる大谷翔平(時事通信フォト)
大谷翔平“打撃が絶好調すぎ”で浮上する「二刀流どうするか問題」 投手復活による打撃への影響に懸念“二刀流&ホームラン王”達成には7月半ばまでの活躍が重要
週刊ポスト
懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
第75代横綱・大の里(写真/共同通信社)
大の里の強さをレジェンド名横綱たちと比較 恵まれた体格に加えて「北の湖の前進力+貴乃花の下半身」…前例にない“最強横綱”への道
週刊ポスト
地上波ドラマに本格復帰する女優・のん(時事通信フォト)
《『あまちゃん』から12年》TBS、NHK連続出演で“女優・のん”がついに地上波ドラマ本格復帰へ さらに高まる待望論と唯一の懸念 
NEWSポストセブン
『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン