副反応への恐怖を感じながら2回目の新型コロナウイルスワクチン接種を終えた人も多いはず。しかし、時間の経過とともにその効果が低下するという事実もある。
ファイザー製は、2回目接種から2か月後までは発症予防効果96.2%で、半年後には83.7%に低下するとされる。モデルナ製は2回目接種から半年間は93.2%だが、ウイルスに対抗する物質である「抗体」の低減が予想されるため、追加接種が必要になるとの見方を示した。
一方、米大手医療機関によると、現在世界で猛威を振るうデルタ株に対するファイザー製の効果は、従来株の予防効果76%から42%へ低下、モデルナ製は86%から76%まで下がったという。
そうした現実に目を向けて、弱ってきたワクチンの効果を高めようと、3回目接種に踏み切った国がある。
昨年12月に初回の接種を開始し、世界のワクチン接種をリードするイスラエルだ。2回接種後の新規感染者数の増加を受けて、今年8月から3回目の接種を始めた。
アメリカも9月20日から3回目接種をスタートすることを表明し、イギリス、フランス、ドイツなどもこの動きに追随する構えだ。
「いちばん早ければ10月終わりから11月になる」
日本でも河野太郎ワクチン担当相が8月29日のテレビ番組でこう発言し、3回目接種の実現に意欲を見せた。
河野大臣は、医療従事者は「10月終わりから11月」、高齢者は「来年1月から2月」との見通しを示し、3回目の接種では1~2回目とは異なる種類のワクチンを打つ「交差接種」を検討していることも明かした。
8月末には東京の若者が接種の抽選のため渋谷に2000人の行列をつくり、1回目を受けたくても受けられない人の多さが明確になっただけに、「3回目」は気が早いと思う人もいるかもしれない。
だが世界を見れば、すでに3回目接種はスタンダードになりつつあるのだ。
喫煙、飲酒は抗体ができにくい
8月31日に公表された首相官邸の最新データでは、国内で2回目のワクチン接種を終えたのは全国民の45.1%に達し、65才以上の高齢者に限れば87.4%に上る。
政府はこの秋にも3回目の接種を始めることを目指すが、時間の経過とともに免疫の効果が低減するので3回目が実現するまでは、2回目を打ち終えても安心できない。
そこで注目したいのが「ワクチンが効かない人」や「すぐ効き目が消える人」を明らかにした研究である。
ワクチンの効果を知るには、抗体の量や強さを示す「抗体価」が参考になる。
国立病院機構宇都宮病院の研究チームがファイザー製のワクチンを接種した病院職員378人を対象に、2回目接種から3か月後の抗体価を調べたところ、60~70代は20代のおよそ半分しかなかった。藤田医科大学の研究も同様で、1回目接種から3か月後の抗体価は年代が低いほど多かったという。
新潟大学名誉教授の岡田正彦さんは、ワクチンの効果と年齢の相関関係を指摘する。