元TBSアナウンサーの久米宏(77)を起用し、それまでのニュース番組の常識を打ち破る司会ぶりで人気を集めたテレビ朝日の『ニュースステーション』。それに対抗すべくTBSが立ち上げたのが、元朝日新聞記者のジャーナリスト・筑紫哲也(享年73)をメインキャスターに据えた『筑紫哲也NEWS23』だった。
以来、2人は“夜のニュースの顔”として約15年間にわたるライバル関係を続けたが、プロ野球の広島ファンという共通点があり、スポーツ紙の企画で日本シリーズを仲良く観戦したこともある。
ヘビースモーカーとして知られていた筑紫は2008年11月に肺がんで亡くなるが、がんを告白した後も「一服できないと面白くない」「がんの原因はストレスで、タバコはきっかけにすぎない」と語り、タバコを愛し続けた。
ライバルであり友であった筑紫との偶然の“再会”について久米が自ら綴った。
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その店はかなり昔から気になっていた。
アスファルトの舗道と建物の間のいくつかの植木鉢から生えている植物が、店の様子を判然としないものにしていて、枝と枝の間から、小さな窓も見えるのだが、立ち止まってその小窓から店の中を覗き込むような真似もし難い。
十年も前から、いや何十年も前から、その店は気になっていた。
今年、2021年の正月、遂にその店に足を踏み入れた。店の入り口に貼ってあった金属板の文字に、魂を奪われたのだ。
「喫煙可」
コーヒーと煙草の組み合わせは、僕にとっては地上の楽園なのだ。
入ってみたら、極々普通の喫茶店なのだ。当然のことながら、コーヒーを注文する。
“窓は、やはり小さい”
コーヒーと煙草をやりながら、外を眺めている。