大統領執務室の奥の小部屋で18か月にわたりビル・クリントン大統領(当時)と「不適切な関係」を続けた女性、モニカ・ルインスキーさん(48)が制作・監修に参画したテレビ映画が9月4日に放映される。制作したのはディズニー傘下の有料テレビ局FXで、タイトルは「弾劾:アメリカン・クライム・ストーリー」。
モニカ役はゴールデングローブ主演女優賞にも輝いたことのあるビーニー・フェルドスタイン(28)、クリントン役は英国人俳優のクライヴ・オーウェン(56)。プロデューサーのサラ・バージェス氏は、「我々はモニカの虚像を作り上げてきた。スキャンダルが暴露された後、右も左もわからない20代の女性がどうやって生きてきたか、彼女の立場に立って正確に描写するのが狙いだ」と語っている。映画評論家のD・マレンゴ氏はこう見る。
「むろん、セクハラ追及の世相に便乗した映画には違いないが、モニカさんは、一貫してレイプではなく合意の上での性行為だったと主張してきた。見どころはスキャンダルがバレた後、社会全体から罵られ、虐められたモニカさんの20数年間がどんなものだったかだ」
ご存知の通り、クリントン=ルインスキー・スキャンダルとは、父と娘ほど離れた大統領とホワイトハウスの実習生だったモニカさんが不幸な子供時代を語り合って意気投合し、性的接触を繰り返した事件。その「秘め事」をモニカさんが同僚女性(故人)に打ち明けたことから関係が暴露され、ついにはクリントン大統領が弾劾裁判にかけられた(1998年に否決)。
弾劾裁判やマスコミの報道合戦により、モニカさんがクリントン氏の求めに応じてオーラル・セックスをしたり、シガー(葉巻)を陰部に挿入されたりしたことも公になった。クリントン氏の精液がついた「ブルーのドレス」も話題になった。
今回の映画はポルノではないから、そうした場面が事細かに再現されているわけではないが、当然それを連想させるシーンはある。モニカさんはニューヨーク・タイムズの取材に、「大統領にTバックをずらして見せる場面などは避けて通れないわ」と語っている。
当時25歳のモニカさんは一躍、時の人になったものの、その後の人生は厳しく、就職活動では50件トライして50件断られたとか。ドキュメンタリー作家、アンドリュー・モートン氏が1999年に『モニカの真実』を著し、その協力謝礼で50万ドル、ABCテレビとの単独インタビューで100万ドルを手にしたものの、大半は様々な案件の弁護士費用(150万ドル)に消えたという。