東京五輪の開・閉会式で、演出とともに注目されたのがNHKアナの実況だった。和久田麻由子アナ(開会式)と桑子真帆アナ(閉会式)による落ちついた中継が、祭典に華を添えた。民放のアナとは違う、その独特な魅力はどこから来るのか──芸能界きっての「NHKアナファン」であるテリー伊藤氏(71)、生島ヒロシ氏(70)、永島敏行氏(64)が“イチオシ”を挙げながら語り合った。(全4回の第1回)
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30年にひとりの逸材
テリー:東京五輪開会式の和久田麻由子アナ(32)の実況は最高でしたね。中継の冒頭で国立競技場がパッと映って、「日本の皆さん、聞こえますか」と呼びかけた声がまるで風のように聞こえるビブラート。神の声かと思っちゃいました。やっぱり彼女は特別です。
生島:いきなりベタ褒め(笑)。確かに世界中の人が見ているビッグイベントですから、局アナ時代にお祭り男と言われた僕が担当していたらハイテンションでやたら早口になっていたかもしれません。それでも和久田アナは落ち着いてしゃべるスピードをコントロールして、わかりやすく伝えていました。内心ドキドキしていたかもしれないけど、お腹からちゃんと声が出ていて、トータルバランスは見事。
永島:役者からすると、感情を抑えたセリフは言いにくいし、人に伝えにくいんですよ。でも和久田アナは生中継で撮り直しがきかない緊張感のなかで、感情をあまり入れることなく、持ち時間を考えてきっちりと内容を伝えていました。非常に難しいことを淡々とこなしていた。
テリー:和久田アナは30年にひとりの逸材ですよ! 僕は民放の女子アナと関わることが多いけど、彼女らは何となく半径5メートルくらいにいそうなカワイ子ちゃんのイメージ。でも和久田アナは「こんな子、街を歩いていないよ」と思わせる雰囲気があります。
立ち居振る舞いからアナウンス能力まで、たとえるなら『ニュースステーション』(テレビ朝日系)時代の小宮悦子アナのような特別な存在感がある。
永島:役者目線で見ても彼女には本当に華があると思います。
生島:そうなんですよね。僕はコロナでテレビをよく見るようになって、アイドルの一挙手一投足を見つめて追いかけるファンの気持ちがわかりました。和久田アナがテレビに出ていると思わず見入ってしまいます。こんな気持ちになったのはこの歳にして初めてです。
テリー:和久田アナが『おはよう日本』を担当していた時に初めて見て、この子はブレイクすると思いました。2020年3月に夜の『ニュースウオッチ9』に移籍してから一段とステップアップしたよね。
この年の夏に髪をバッサリ切ってショートカットにして視聴者を驚かせたけど、本人も何か期するところがあったんじゃないかな。以降の彼女はもう別次元の存在感を放っています。