「医療上のリスクが増大する可能性は低い」。9月1日、モデルナ製ワクチンに異物が混入していた問題で、厚労省は異物が製造機器のステンレス片で、健康上のリスクは少ないと発表した。
だが、人々の不安は尽きない。異物が混入したワクチンはモデルナが委託するスペインの工場で製造されたもので、厚労省はそのワクチンと製造番号や製造工程が同じ3つのロット(同じ規格で作られたひとつのまとまり)、計163万回分の接種を取りやめたが、後に50万回分がすでに接種済みだったとわかった。
そこで本誌・女性セブンは2021年9月16日号で、スペインの工場の様子を独占レポートした。箝口令が敷かれたような現地の様子に、「モデルナの本社があるアメリカで作っていると思っていたのに、スペインの下請け工場で製造されていたなんて」「郊外で細々と作っているみたいだけど、工場の管理は大丈夫なのでしょうか」とショックの声が多数寄せられた。
副反応の懸念もある。ニュージーランドの独立委員会はファイザー製を接種後に死亡した女性が心筋炎を発症していたとして、ワクチンが影響を与えた可能性があるとした。
一方の日本はワクチン接種後に死亡した事例が1000件を超えるが、接種との因果関係の解明は進んでいない。
ワクチンの効果にも疑問がある。藤田医科大学の研究(ファイザー製)によると、接種後3か月で抗体価は4分の1にまで減少した。また、米大手医療機関によると、現在世界で猛威を振るうデルタ株に対するファイザー製の効果は、従来株の予防効果76%から42%へ低下、モデルナ製は86%から76%まで下がったという。事実、各国で2回接種後に感染する「ブレークスルー感染」が多発している。
そのためイスラエルなどが「3回目接種」に踏み切り、日本も検討を始めた。副反応が怖いなかで2回目を終えてひと安心と思ったのに、すぐ効き目がきれるから3回目も打つなんて「話が違う!」と憤る人も多いかもしれない。
供給面にも課題が残る。予約なしで接種できる渋谷の接種会場に若者が殺到したように、いまも「ワクチンを打ちたくても打てない」人は多い。
臨床研究が豊富で安全性も高い
異物混入、抗体減少、副反応、供給不足──さまざまな不安が増すなか、期待が高まるのが「日本製ワクチン」だ。
現在、日本で使われているワクチンは外国製である。そのため、不測の事態が生じた場合は輸入がストップして、日本人全員が「ワクチン難民」となる恐れもある。日本製が充分あれば安心だ。
厚労省によると、現在、国内でワクチン開発に取り組む主な企業は5社。なかでも先頭を走るとされるのが、シオノギ製薬だ。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。
「シオノギ製の国産ワクチンは昨年12月に国内で第1、第2段階の臨床試験を開始して、早ければ来年3月までに実用化されます」
感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の「総合感染症メーカー」であるシオノギのワクチンは、ファイザー製やモデルナ製としくみが異なる。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが説明する。