誰もが夢見る“馬券生活”。「JRA重賞年鑑」で毎年執筆し、競馬を題材とした作品も発表している作家・須藤靖貴氏も、馬券生活を夢見て日々、競馬の研究に勤しんでいる。そんな須藤氏が、万馬券ゲットのために9月に強い騎手を検証する。
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セプテンバー・ソングは映画『旅愁』(1950年アメリカ)の挿入歌。時を経て一般名詞化し、夏を顧みる切ない心情を綴る歌である。日も短く涼しくなり、ギラギラと愉しかった日々を思い返して感傷的になる。腕の日焼けに夏の名残りを感じてしまうのだった。
この9月はどうだろう。2021年の夏、日本中がバタバタし過ぎた。私はどこへも行かず誰にも会わず、独酌率100%。季節を問わずにメランコリックである。でもまあ、とにかく秋は明るく行きましょうや。秋競馬的中で感傷を吹っ飛ばせ!
ということで、特に9月に強い騎手ってのは? と思ったのである。例によって「JRA-VAN TARGET」を使い、ジョッキー30名を対象に、ここ5年の9月のレースのデータを取ってみた。単勝回収率(単回)と複勝回収率(複回)を比較すると、わりとあっさり傾向が出た。
田辺裕信がいい。単回・複回が(115円・102円)。リーディング常連陣のルメール、川田、福永、松山、戸崎、吉田隼、武豊らはどちらも100円未満。他では単回の100円超えは幸(108円・50円)くらいだった。
田辺は特別レースだと(126円・93円)。9月に彼の成績を優越する騎手は見当たらない。
田辺の月別成績をみると、総じて優秀ではあるもののやはり9月がいい。単回・複回ともに100円を超えるのは9月のみ。田辺には中山巧者のイメージが強く、「待ってました、9月の中山!」かと思ったが、やはり(98円・98円)と堅実。
弾けているのが新潟である。5年で47走と分母は大きくないものの(194円・121円)、特に芝では(286円・141円)。特別レースに限っては(516円・190円)。この期間での田辺の新潟騎乗のトータルは(98円・91円)、特別戦で(156円・112円)と良いわけだが、7、8月と比べると9月が図抜けている。