9月12日に大相撲秋場所が両国国技館で初日を迎える。照ノ富士が第73代横綱として土俵に上がるが、迎え撃つモンゴルの先輩横綱・白鵬は、所属する宮城野部屋の十両・北青鵬の新型コロナウイルス感染が判明し、さらに幕下以下の力士にも陽性者が出たことで、宮城野部屋の他の全力士とともに本場所を全休することが決まった。
「6場所連続休場明けとなった先の7月場所に全勝で復活優勝した白鵬は連続優勝の望みを絶たれたわけだが、年齢を重ねて故障や力の衰えが見えるようになってからの白鵬2017年5月場所、同7月場所以来、2場所連続優勝はない。それ以降はむしろ必ず“15日間皆勤→翌場所は休場(途中休場を含む)”という流れを繰り返してきた。それゆえ、“休みすぎ”“延命している”という批判もあったわけだが、今回はコロナ感染防止のための休場だから、そうした批判を受けずに済むだろう」(若手親方)
思わぬかたちでの白鵬の休場により、照ノ富士は年6場所制になって4人しか達成しておらず、白鵬さえできなかった「新横綱での優勝」への期待もより高まっている。
一方、全力士が今場所を全休する宮城野部屋だが、興味深いのはその関係者に“例外”がいることだ。宮城野部屋の「部屋付き親方」である高島親方(元関脇・高望山)、行司の式守勘太夫と呼び出しの隆二は“部屋に出入りしていなかった”という理由で、秋場所には出場できるのだという。
昨年来、相撲部屋は稽古での体の接触が避けられないうえ、力士や親方がひとつ屋根の下で集団生活を送り、ちゃんこ鍋を囲んで食事するなどの慣習があることから、新型コロナの感染拡大リスクが高いことが指摘されてきた。それゆえ、相撲協会も部屋から感染者が出た場合は、所属力士や親方らを全員、休場とする措置を繰り返してきた。にもかかわらず、今回は「感染したリスクがない」と判断されて、部屋付き親方の出場が認められたのだ。
「相撲部屋では基本、寝食を共にする集団生活となるが、関取で既婚者となれば、部屋の近くに住まいを構えて“通い”が可能になる。宮城野部屋の場合、白鵬や石浦(前頭12枚目)が既婚者で部屋に住んでいないが、稽古には通っていたということで休場となった。
その一方で、部屋付きの高島親方が出場できるのだから、稽古に顔を出していなかったという話になる。高島親方は協会の理事だが、大阪場所部長を担当しており、“常勤執行部だから部屋に行けない”という話にはならないはず。普段は何をやっているんだと記者の間で話題になりました。まあ、白鵬が取り仕切っていて宮城野親方(元前頭・竹葉山)でさえ稽古場で出番がないといわれる部屋ではありますが……」(相撲担当記者)