『フランダースの犬』『あらいぐまラスカル』『小公女セーラ』──。珠玉の名作が放送されたテレビアニメ“世界名作シリーズ”。
(※“世界名作シリーズ”をどの作品から数えるのかは諸説あるが、今回はシリーズの流れを決定づけた『アルプスの少女ハイジ』からとする)
女性セブンが読者1464人を対象に「好きな世界名作シリーズの作品」についてアンケートを実施したところ、『アルプスの少女ハイジ』が1位となった。その主人公・ハイジの声を担当した声優・杉山佳寿子(かずこ)さんが当時の制作秘話を明かした。
演出の故・高畑勲さんに叱咤された日も
自然と役に入り込めたという杉山佳寿子さんだが、苦戦したこともあったという。それは第27話のあるシーン。
「フランクフルトのゼーゼマン家で、ハイジが初めておばあさまをお迎えする日。教育係のロッテンマイヤーさんの指示で、“奥さま”と呼ぶ練習をしていたんです。長い廊下を歩きながら、“奥さま、奥さま……”と連呼していたら、最後に“さま奥”になってしまうというほほえましいシーンなんですけど、廊下の長さやせりふの回数を台本通り、律儀に合わせていたら、“さま奥”にならないものだから苦戦してしまって……」(杉山さん/以下同)
そこで叱咤したのが、後にスタジオジブリを立ち上げる演出の故・高畑勲さんだった。
「すみません、“さま奥”にならないんですけど……」と言う杉山さんを、「どこでもいいからなれ!」と怒鳴りつける無茶ぶり。
「私も大声で“できませーん”なんて言い返して(笑い)。でも高畑さんに怒鳴られたのはそのときだけですよ」
この話を聞いていなければ見逃してしまいそうなワンシーンだが、そこには声優と演出家の熱い闘いがあったのだ。