〈デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げること〉を目指すデジタル庁が9月1日、発足した。“デジタル社会”の実現へと向けた動きが加速する中、政治家によるSNS利用のあり方にもあらためて注目が集まっている。なかでも、9月10日に総裁選への出馬を表明した河野太郎行政改革・ワクチン担当大臣による、以前から一部で問題視されてきたTwitterでのブロック行為が再び物議を醸した。
河野大臣といえば、これまでもTwitterで躊躇なくブロック機能を行使することが賛否両論を呼び、一部のネットユーザーからは“ブロック太郎”と揶揄されることもあった。
9月7日にはTwitter上でハッシュタグ「#河野さんにブロックされています」がトレンド入りし、河野大臣による、特定のアカウントに自身のツイートを表示させなくするブロック行為が議論を呼んだ。反響を受けて河野大臣は「SNS上で誹謗中傷されて悩んでいる方は非常に多くいらっしゃる」「(ブロック機能を使うことは)問題ない」と説明したが、匿名アカウントからの罵詈雑言や誹謗中傷のみならず、実名アカウントからの批判や疑問までシャットアウトするかのような行動を疑問視する声も多い。
SNSに限ったことではない。2018年には記者会見で日露関係について問われると、当時外務大臣を担当していた河野大臣は「次の質問どうぞ」と繰り返しスルー。後日、謝罪の弁を述べるとともにそのような対応を取った理由について説明したが、やはり説明責任を果たしていないという批判が一部からは寄せられた。
2019年にも同様の問題が噴出した。第4次安倍再改造内閣が発足した際、防衛大臣の就任記者会見に臨んだ河野大臣は、自身の持論である脱原発について記者から問われると「所管外です」を連発。会話が成立することなく会見の場から去っていった。むろんこうした光景は河野大臣に限ったことではなく、“説明しない政治家”の姿をうんざりするほど見せられてきたと感じている人も数多くいることだろう。
公共政策と情報社会論が専門の西田亮介・東京工業大学准教授によれば、河野大臣によるTwitter上でのブロック行為が物議を醸した今回の一件は、こうした“説明しない政治家”が蔓延していることと絡めて考えることができるという。