三つ巴のセ・リーグ優勝争いで、経験値や戦力面から有利と見られていた巨人が、一歩後退している。9月11日まで2引き分けを挟んで、今季ワーストの6連敗(記録は9月11日現在。以下同)。ヤクルトにも追い抜かれ、現在は首位・阪神に4ゲーム差の3位となっている。プロ野球担当記者が話す。
「結果的にこの3週間で、原辰徳監督には“3つの疑問の采配”があったと思います。1つ目は中田翔を日本ハムから獲得し、すぐに一軍で使ったことでしょう。日本ハムで無期限謹慎処分になった中田を迎え入れるまではまだいい。しかし、移籍と同時に処分を解除して、スタメンで使った。世間の大半は疑問に思ったし、巨人ファンでも賛同しない人たちがいた。選手たちは言葉にこそ出さないものの、動揺したはずです。
1人の選手が加入すれば、別の選手のポジションが脅かされる。それでも、中田が打てば選手たちも納得せざるを得なかったでしょうが、中田が打率1割台に低迷しても原監督はスタメンで使い続けた。不協和音が表に出ないだけで、選手たちには複雑な思いもあったことでしょう」(以下同)
後半戦開始直前、原監督は“わっしょいベースボール”というフレーズを掲げた。東京五輪での中断が明けると、巨人は2カードで3勝1敗と勝ち越し。ホームランを打った選手がベンチに帰ってくると、神輿を担ぐようなポーズをするようになり、チームの雰囲気も盛り上がってきた。
しかし、8月20日に中田の無償トレードが発表されてから9月11日に二軍落ちする前日まで、巨人は5勝9敗5分。明らかに失速した。中田1人のせいではないとはいえ、大きな戦力になるはずだった昨年のパ・リーグ打点王の加入は、チームの雰囲気にも微妙な影響を与えてしまったのではないだろうか。