自民党の若手議員がついに決起した。河野太郎・規制改革相が出馬表明した9月10日の夜、同党の当選3回以下の議員たちの「党風一新の会」がオンラインで設立総会を開いた。
呼びかけ人に名を連ねているのは70人。細田派16人、岸田派13人、麻生派と竹下派が各10人、二階派6人、石破派4人、石原派1人、無派閥10人と文字通り派閥横断的なグループだ。オンライン総会には約60人が参加したが、入会希望者は増えており、現在90人が参加を決めたと発表している。自民党1~3回生(126人)の7割を超える大勢力だ。
代表世話人に就任した細田派の3回生、福田達夫氏は、父の康夫氏、祖父・赳夫氏とも元首相という政界のサラブレット。達夫氏は7日に党本部で開いた若手の会合で、「地元で『密室政治、長老政治ではないか』『派閥で物事が決まっていないか』という厳しい意見をいただいていると思う」と声を上げるなど、長老支配を批判して総裁選では派閥の締め付けによらない自主投票の実施を求めている若手リーダーの1人だ。
ちなみに、「党風一新の会」の名称は、かつて福田氏の祖父・赳夫氏が時の池田勇人首相の経済政策に反対して党内に立ち上げた議員グループ「党風刷新連盟」とよく似ており、党風刷新連盟は後に福田派(現在の細田派)となった。ベテラン議員の間には、「福田さんの孫は“細田派のプリンス”と呼ばれる将来の細田派の会長候補だが、安倍(晋三)前総理とは折り合いが悪い。祖父に見習って、安倍さんや麻生(太郎)副総理、二階(俊博)幹事長らの長老支配に対抗する自前のグループ作りを始めたのでは」(二階派幹部)との見方もある。
同会がこの日の設立総会で採択した「緊急提言」文書では、安倍長期政権以来の自民党の現状を厳しく批判。
〈かつて政権の座を奪われ下野することとなったわが党は、その反省の下、党改革を実行し、 国民の信頼回復に努め、平成24年12月に3年3ヶ月ぶりに政権を奪還した。しかし、その後の安定政権が続く中で、 強引ともとられる政権運営や、 国民意識と乖離した言動や行動も散見されるなど、 「自民党はかつての反省を忘れて再び驕りが生じているのでは」 との批判も聞かれるに至った〉
そのうえで、総裁選に向けて次の3項目の緊急提言を行なった。
1.新型コロナ感染症対策と経済対策を明確に打ち出すこと 。
2.党改革を通じた政治改革を断行し、国民政党としての信頼回復を図ること 。
3.本会との意見交換の機会を設けていただくこと 。
特に3番目の項目は、同会メンバーが直接、各総裁候補と議論することで、誰に投票するか判断しようということだ。