カラオケボックス、インターネットカフェ、漫画喫茶など、それぞれの客が個室を利用するスタイルの店舗のことを“個室型店舗”という。リモートワークができるというので注目を集めているが、このような店の個室内で被災した場合、どうすればいいのか?
「これまで、揺れている最中の移動は転倒などの危険があるため、しないようにと伝えてきましたが、個室型店舗内に限り、話は別です。唯一の出入り口である扉がゆがんで、閉じ込められる恐れがあるので、個室内にいるときに緊急地震速報を受信したり、地震の揺れに気づいたら、すぐに扉を開け放し、避難口を確保しましょう」
とは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。店舗によって機材の配置や種類など環境は異なるが、特にカラオケボックスには重量のある音響機材やモニター、照明などがある。移動の際は、これらの転倒・落下にくれぐれも気をつけること。バッグなどで頭をガードしながら扉を開けて移動すると安心だ。
避難経路は前もって“2方向”確認する
移動できるくらいまで揺れが収まったら、火災発生の可能性を考慮して、その場から速やかに立ち去ろう。というのも、カラオケボックスのような個室型店舗は、その独特な店舗構造やサービス形態により、火災が起こると大惨事につながりかねないからだ。
「2007年1月、兵庫県宝塚市で発生したカラオケボックス火災では8人が死傷、2008年10月の大阪府大阪市浪速区の個室ビデオ店では死者16人、負傷者9人という甚大な人的被害を伴う火災が発生しています。個室型店舗では部屋の外で何か起こっても気づきにくいので、火災が起きた際、逃げ遅れるケースが多いんです」(和田さん・以下同)