「子供からは『気持ち悪い』と不評です」。群馬県太田市在住の40代女性が言う。女性には中学2年の長男と小学5年の長女がいるが、夏休み明けの9月上旬、『Good Bye COVID-19 OTA』と印刷されたシールを手に帰ってきたという。
「『自転車のヘルメットに貼るように』と配られたそうですが、子供たちは抵抗があるようで貼っていません」(同前)
別掲写真の“さよならコロナシール”は、市内の小学校5~6年生と中学1~3年生全員、約1万2000人の生徒に配られた。
実は、今年に入ってから太田市内には奇妙なグッズが溢れているという。
「幹線道路にはデカデカと『非常事態』と書かれた数千本ののぼり、ショッピングモールに行けば『さよならコロナ』のマグネットシールが配られます。正直気味が悪い(苦笑)。税金の無駄遣いでは」(市内在住・60代男性)
市内に溢れているコロナ退散グッズ。発案者は太田市長の清水聖義氏(79)だという。一体、何があったのか。太田市の企画部広報課はこう説明する。
「のぼりは今年の1月ごろに1本500円程度で1600本を製作しました。マグネットシールは1枚300円ほどで1万枚、(生徒に配った)ステッカーは1枚100円弱で1万2000枚発注しました。啓発事業の一環ということで、すべて市長の発案です。デザインも市長が選んだと聞きました。『いいアイデアだ』という声もある一方、『黄色と黒という色がどぎつい』『税金の無駄じゃないか』といった意見もあったと承知しています」
清水氏は1995年に初当選後、8期26年間にわたり首長を務めてきた太田市の名物市長。感染予防の啓発はもちろん重要だが、およそ500万円の税金を投じてやることなのか、市民から疑問の声があがっているわけだ。
「昨年3月に政府が出した学校の全国一律休校の要請に反対して批判されたり、コロナ対策ではあまり結果を出していません。目立った政策を打ち出して“名誉挽回”を狙ったのではと言われています」(前出・60代男性)
“さよならコロナ”は市民のみならず全国民の願いだが、どれほどの効果があるものか。
※週刊ポスト2021年10月1日号