誰もが夢見る“馬券生活”。「JRA重賞年鑑」で毎年執筆し、競馬を題材とした作品も発表している作家・須藤靖貴氏も、馬券生活を夢見て日々、競馬の研究に勤しんでいる。そんな須藤氏が、万馬券ゲットのために9、10月に強い騎手を検証する。
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四季っていいなあ。そう感じるのは秋風を頬に受けるときだ。
秋刀魚、戻り鰹や日本酒の秋上がりといった味覚もいいが、やはり秋競馬である。
春にそこそこ走った若駒が夏を経てぐっと成長する。馬の能力に成長のタイミングがかみ合ってくる時季だという。こっちのメンタルも一新できる良いタイミング。これまでの馬券的な不首尾などをキレイに消し去り、ここから気を入れ替えて前向きにいこう!
引き続き、秋の中山に注目。「JRA-VAN TARGET」を使い、2016~2020年の9、10月の成績を調べてみた。初秋は京都、阪神も活況なので、中山騎乗は美浦所属ジョッキーが多くなる。東の20騎手を対象に、ここ5年の9月のレースの単勝回収率と複勝回収率を比較した(「〇・〇」と表示)。
関東の雄の戸崎は「64・80」、他を見ても吉田隼、大野、内田、柴田大らの首尾はそれほど芳しくなかった。伸び盛りの横山和、武も秋の出だしには元気がない。まずまずなのは石橋の「77・85」、北村宏の「72・80」。たまに上京するルメールは「100・82」だった。
誰かが勝っている。田辺が突出しているのは前回書いたとおり。他でいいのは丸山「92・103」と、柴田善「101・116」である。
おや? と思ったのがベテラン柴田善だ。芝(71走)では「65・41」だが、これがダート(50走)となると「152・222」。この差異は無視できない。秋の砂駆けオヤジだ。
オヤジならば横山典も面白い。全体では「74・80」と堅実だが、牝馬に跨ると「112・109」となる。同じく三浦も全体で「79・78」、牝馬ならば「126・112」と上がってくる。
ちなみに、この時期の中山の休み明け緒戦(1680頭)の成績傾向は「63・73」。1番人気馬で「100・88」だった。2戦目となると「57・63」。秋の中山のパドック、走る馬をじっくりと見極める愉しみがありそうである。本馬場もパドックの空も高かろう。