「トオル! トオル! トオルー!」──唐沢寿明(58才)演じる警察の緊急指令室ユニットの樋口彰吾が、石川透刑事(増田貴久・35才)の名を叫ぶ。真犯人の策略で殉職させられた相棒との悲しい別れ。最終話に向けて盛り上がるドラマ『ボイスII 110緊急指令室』(日本テレビ系)の9月11日放送の第8話。2シリーズを共にしてきたコンビの突然の崩壊に、SNS上では視聴者たちの死を惜しむ声であふれた。
まるで年の離れた兄弟のような名コンビだったが、ドラマの舞台裏でも、兄は弟に深い愛情を注いでいた。
《兄貴からバッグをもらいました!》
7月4日、その日35才の誕生日を迎えた増田は、ドラマの公式インスタグラムにこんなコメントを上げた。
「唐沢さんが増田さんにクロムハーツのバッグをプレゼントしたんです。2年前の前シリーズ撮影時に、増田さんがクロムハーツのバッグを使っているのを見て、少し大きいと感じた唐沢さんが『小さいものは持ってないの』って声をかけていたんです。たった一回、そんなやりとりをしただけなのに、唐沢さんは覚えていた。そのことを思い出した増田さんは驚いて言葉を失っていました」(ドラマ制作関係者)
唐沢の気配りは業界でも有名だ。映画の撮影現場へラーメン店を丸ごと呼び寄せたり、今年の冬に撮影された主演ドラマ『24 JAPAN』(テレビ朝日系)では、全スタッフとキャストにダウンジャケットを差し入れた。今作でも、共演者の藤間爽子(27才)が「真夏のロケ現場では氷の飲み物を差し入れするだけじゃなくて、手にできていないスタッフを見つけたら、自ら渡しに行かれてた。上に立つかたの振る舞いを学びました」と明かしている。
昨年のNHK連続テレビ小説『エール』の主演、窪田正孝(33才)にも「一生ついていきます」と心酔されるなど、慕う後輩は数えきれない。その気風のよさはどこにあるのだろうか。
「唐沢さんは、高校時代から撮影所でエキストラやスタントマン、全身タイツの仮面ライダーのショッカー役などで日銭を稼いできました。当時は風呂なし共同トイレの家賃1万円のアパート暮らしで、夢を追いかけていた“たたき上げ”です」(映画関係者)