MCとして用意された原稿もただ読んでいるのでなく、政治や経済の全体状況を把握し各論についての理解を感じる。でなければ政治家から突然返された逆質問に、堂々と即応することはなかなかできない。おびえたり動揺を見せない存在感が何よりも佐々木さんの魅力です。
時には司会進行だけでなく、批評的なコメントをスッとさしはさむのも心地よい。例えば国と一体になって外国の株主に圧力をかけたとされる東芝の問題では、コメンテーターが「東芝は半導体や原発など日本の安全保障に関する企業だから国と話さざるをえない」とコメントすると、すかさず佐々木さんが「資本主義として見れば(国の介入は)問題がある」と返し丁々発止のやりとり。あるいは、システムトラブルを繰り返し金融庁が業務改善命令を出したみずほ銀行について「20年の間に(3銀行が合併した)企業文化を一つに揃えることができなかった問題がある」と指摘するなど、とにかく切れ味がいい。
さて10月、いよいよそのWBSと同じ時間帯の『報道ステーション』で変革が。メインキャスターに超大物の大越健介氏が登場とあって、注目が集まっています。大越氏といえばNHKワシントン支局長を経て『ニュースウオッチ9』『NHKスペシャル』等の看板番組キャスターを務めてきたあの人。
大越氏自身も「日々のニュースは大事な主食。例えるなら“米”。皆さんに良質な主食をお届けしたい」と所信表明。米どころ新潟県の出身ゆえの言い回しだそうですが、自分の仕事をすらっと「主食」と言い切ってしまう自信家ぶり。東大出超エリート街道を来ただけに、下手をすれば「上から目線」と批判される危険性も孕む。
仮に、ニュースが「主食」だとしても、ニュース番組同士でさらに主たる席を争うバトルがある。大越さんですらノンキに構えていられない午後10時のニュース番組ガチンコ勝負。秋の夜長、二つの番組を対比させながら見る醍醐味を存分に堪能したいと思います。