9月26日、3位・巨人が3対4で2位・阪神に敗れ、首位・ヤクルトが中日に16対0と大勝。巨人はヤクルトに4ゲーム差を付けられ、自力優勝の可能性が消滅した。巨人は後半戦に入ってから14勝15敗7分(9月26日現在。記録は特別な説明のない限り、以下同)と失速。“三つ巴の争い”の中で、脱落しかけている。優勝候補の筆頭と目されたチームはなぜ、崩れていっているのか。プロ野球担当記者が話す。
「原辰徳監督の采配に変化が見られ始めたからではないでしょうか。実力至上主義を謳う原監督は特別扱いする選手を持たず、主力でも打てなければスタメンから外し、必要ならばバントの指示もした。その采配はチームに緊張感を与え、誰にでもチャンスがあると示してきました。しかし、最近の起用法は実力至上主義からかけ離れているように見えます。8月に日本ハムから移籍してきた中田翔、ベテランの亀井善行を打てなくても起用している」(以下同)
中田は8月4日にチームメイトに暴行を振るい、11日に日本ハムから無期限謹慎処分を言い渡されていた。しかし、20日に突如として巨人へ移籍。同時に処分は解かれ、21日に一軍登録。22日にはスタメン出場で2ランホームランを放っていた。
「あまりの急な展開に、選手たちは戸惑ったはず。中田が打ち続ければまだ良かったのでしょうが、打率1割台なのに、スタメンで起用され続けた。マスコミやファンでさえ疑問に思うのですから、一緒にプレーしている選手たちはもっと敏感になります。中田の加入で、自然とポジションが1つ消える。チームには当然、微妙な空気が流れます」
中田の移籍が発表された8月20日以降、巨人は10勝14敗7分。1軍帯同時は7勝11敗6分、登録抹消時は3勝3敗1分となっている。
「もう今さら遅いですが、巨人に移籍するにしても、日本ハムの謹慎処分を受け継いで、今年は一軍に出場させるべきではなかった。一度、二軍に落としましたが、原監督は他の選手ならもっと早く見切りをつけているでしょうし、一軍に再昇格してすぐにまたスタメンで使った。その3試合目の広島戦で約1か月ぶりのホームランを放ったが、再昇格後のヒットはその1本だけです。同じ試合でウィーラーもホームランを打ちましたが、次の阪神戦ではウィーラーはスタメン落ち、中田は先発出場しました」