スマホやパソコンのみならず自動車から新幹線にいたるまで、あらゆる電子機器を動かす半導体。今日から新聞の経済面が面白いように理解できる、これだけは知っておきたい半導体の「基本のキ」を紹介しよう。
そもそも半導体って?
「半導体」とは、電気を通しやすい「導電体」と、通しにくい「絶縁体」の中間の性質を持った物質のこと。温度や圧力の環境、不純物の有無などによって「導電体」になったり、「絶縁体」になったりする特徴を持っている。代表的な半導体はシリコン(ケイ素)だが、今日では、こうした物質を材料にしたダイオードやトランジスタ、LSIなどといった電子部品を半導体と呼ぶのが一般的だ。
“20世紀最大の発明”半導体の誕生秘話
物質としての半導体の性質を発見したのは、英国の物理学者ファラデーといわれる。実用的な技術として発展したのは、米国のAT&Tベル研究所のJ・バーディーンとW・ブラッテンが点接触型トランジスタを発明した1947年。真空管に代わる技術として、“20世紀最大の発明”といわれた。この功績が称えられ、バーディーンらは1956年にノーベル物理学賞を受賞している。
半導体の種類はこんなにある
半導体には様々な種類がある。大別すると、計算機能を持つ「ロジック半導体」、データを保存する「半導体メモリ」、電力制御の「パワー半導体」、光を電気信号に変換する「イメージセンサー」などが挙げられる。
半導体は設計から製造、販売まで一貫して自社内で行なうのが一般的だったが、1980年代後半頃から、ロジック半導体の分野では設計だけを手がけて製造工場を持たない「ファブレス」、受託製造に特化する「ファウンドリ」という分業モデルが世界的な潮流となった。
このモデルを創り出したのが、台湾のファウンドリ企業・TSMC(台湾積体電路製造)。ファブレスへ傾斜する企業の増加を背景に受託製造に徹し、今日では2~3世代先といわれる極小ICチップ製造を可能にする技術の高さで市場を席巻。現在、TSMCの時価総額はトヨタ自動車の2倍、約60兆円を誇り、半導体業界の“巨人”として世界市場に君臨している。