いつの時代も多くの人に愛されるのが、熱血教師とヤンキーたちのかかわりを描いた学園ドラマだ。そういったドラマには、多くの視聴者の胸を打つ熱いセリフが散りばめられている。
「悔しい気持ちを持つことこそ、成長の証。これもヤンキーが出る学園ドラマによくあるテーマです」と、元小学校教諭で琉球大学教育学部教授の丹野清彦さんは分析する。
「“負けて悔しいと思う気持ちが大事である”と、大人は思いがちですが、生徒にそれだけを言ってもピンときません。それよりも、負けて悔しい思いを持っている生徒に対し、『負けて悔しいと思わないのか?』と問いかけることで、『負けて悔しいから、次は勝ちたい、これ以上負け続けていたくない』という気持ちを起こさせることが大切です」(丹野さん・以下同)
そこで、丹野さんが挙げたのが、不良ばかりが集まる学校に赴任した先生が、ラグビーを通して生徒たちを変えていく『スクール・ウォーズ』(TBS系)。昭和を代表するヤンキーと先生のドラマだが……。
「9話で山下真司さん(69才)演じるラグビー部顧問の滝沢賢治先生が、100対0と未曽有の大敗を喫した部員に対し、『お前らそれでも男か? 悔しくないのか!!』と烈火のごとく怒ります。それに対し、虚勢を張っていた生徒の1人である森田光男が『悔しいです!』と涙ながらに感情を露わにする。ここは同作品を代表する名シーンですが、悔しいという思いを生徒に自覚させることこそ、成長の第一歩になることを教えてくれています」
これは令和になったいまも変わらない。
「2021年版『ドラゴン桜』の3話で、桜木先生が『搾取されるだけの人間になりたくなければ、不満ばかり言う人生を送りたくなければ、お前ら勉強しろ!』と言いますが、これも『お前ら負け続けていていいのか?』と生徒に問いかけている。
『お前らあきらめるな!』と言うよりも心に響き、生徒たちは、『負けの人生を送りたくない』と思って、一歩前進しようとするのです」
「搾取されるだけの人間に
なりたくなければ、
不満ばかり言う人生を
送りたくなけりゃ、お前ら勉強しろ。
バカとブスこそ東大に行け」
「涙が出るほど悔しいのか。
二度と忘れんなよ」
(『ドラゴン桜』第2シリーズ/桜木建二)