あらゆる電子機器に必要な存在となっている「半導体」。50兆円規模にのぼる世界の半導体市場のトップ3はインテル(米国)、サムスン電子(韓国)、SKハイニックス(韓国)。世界ランクに入る日本の企業は、NAND型フラッシュメモリのキオクシアやイメージセンサーのソニーなど、数社に過ぎない。経済産業省も2030年には、世界市場における日本のシェアが0%になると危機感を募らせている。
このように現在では半導体分野で存在感を出せないでいる印象の日本だが、シリコンウェーハ(シェア62.2%)やフォトレジスト(シェア84%)などの高機能材料や半導体製造装置の分野では世界を圧倒している。ここでは、高い世界シェアを持つ日本のメーカーを紹介しよう。
精密切断装置「ダイシングソー」で世界シェア70~80%
……精密加工装置メーカー ディスコ
1937年の創業時から培ってきた砥石の技術を礎に、半導体製造工程の「切る」「削る」「磨く」各装置のシェアで世界一の座に位置する。回路の形成が完成したウェーハを切断し、チップ化する工程に用いるダイシングソー製品では、世界シェア70~80%を誇る。
直径300ミリのシリコンウェーハ1枚から数百~数千個のIC/LSIチップを作ることができるが、同社は円盤状の極薄の砥石(ブレード)で一つひとつのチップに切り離す高度な技術で世界を席巻している。レーザーで切断する製品も開発。ウェーハを薄く削る研削装置や、ウェーハ研削後の微細ダメージを除去する研磨装置でも世界シェア60~70%を握る。