普段当たり前に通っている道路や橋がいつ崩れてもおかしくない──そんなデータを8月25日に国土交通省が公表した。「全国道路構造物情報マップ~損傷マップ~」だ。国交省道路局国道・技術課道路メンテナンス企画室の担当者が語る。
「全国各地の橋梁やトンネル、歩道橋といった道路インフラの老朽化の現状とどれだけ修繕が進んでいるかを閲覧できるマップです。該当する道路構造物を日本地図上で初めて“見える化”し、わかりやすく把握できるようにしました」
国交省は、全国にある道路インフラの老朽化具合をI~IVの4段階で分類。そのうち「III早期措置」(早期に修繕などの措置を講ずべき状態)と「IV緊急措置」(緊急に修繕などの措置を講ずべき状態)に該当する4万件超の未措置の道路構造物を同マップに示した。
「現実問題として、道路インフラのメンテナンスは全体的に遅れており、とくにIII判定やIV判定を放置しておくと、たとえば橋の場合は落橋して通行の妨げになったり住民を巻き込んだ重大な事故につながったりする可能性があります」(前出・国交省担当者)
そこで、本誌・週刊ポストは同マップを元に専門家の監修を得て、東京23区の「危ない道路」マップ(別掲図参照)を作成した。
東京23区でまず注意したいのが、歩道橋のある道路だ。渋谷駅前近くの国道246号線には、「青山学院前歩道橋」ほかIII判定のまま未措置状態の歩道橋が4つあるなど、23区内には修繕が完了していない歩道橋が集中している箇所が多い。
防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏が指摘する。
「1960~1970年代半ばにかけて交通事故が多発した際に、都内の都市部に歩道橋が数多く建設されました。現在、震災対策で老朽化した歩道橋の撤去が進んでいますが、定期的なメンテナンスが追いついていない歩道橋もあります。
学校の近くにあり、子供たちの通学路となる歩道橋も多いですが、修繕工事をしないままズルズルと使われ続けているのが現状です」
渡辺氏が心配するのが、江東区にある「亀戸駅前歩道橋」下の道路だ。
「1970年に架設された歩道橋で、IV判定のまま未措置状態です。歩道橋の下には交通量の多い国道14号線が走り、落橋したら大惨事になる」(渡辺氏)