いつの時代も人気なのが、ヤンキーが登場するドラマや漫画。特に熱血教師とヤンキーの心の交流や元ヤンキー教師の奮闘が描かれる作品が多い。そして、作品に登場する熱血教師の熱いセリフも欠かせない。どうして、熱血教師の言葉は刺さるのか。「夢」と「人生」をキーワードに熱血教師のセリフを読み解く。
夢を持つ大切さ
セリフの中に「夢」という言葉が多く出てくるドラマの代表格は、『3年B組金八先生』(TBS系)と『ROOKIES』(2008年・TBS系)。元小学校教諭で琉球大学教育学部教授の丹野清彦さんはこう話す。
「名言・至言が多い金八先生ですが、シリーズ1から不良少女・山田麗子(三原じゅん子・57才)が将来美容師になりたいという夢を坂本金八先生(武田鉄矢・72才)が温かく見守り、夢を持つ大切さを説いています」(丹野さん・以下同)
『ROOKIES』の川藤幸一先生(佐藤隆太・41才)は試合で乱闘騒ぎを起こし、学校の鼻つまみものになった“ニコガクナイン”こと二子玉川学園高校野球部員に対し、熱すぎるまでに夢を持つ大切さを伝えていく。
「ドラマの教師はよく“夢を持とう”と言いますが、現実でそんなことを言われても子供たちはピンときません。なぜなら、いまの世の中、子供たちはなかなか夢を持ちづらく、小学5年生で半数くらいが将来に夢を持てないと言うからです。高学年になると勉強ができる方かできない方か、自分でもわかるようになる。そして、勉強やスポーツができる子ですら、中学生くらいになると頭打ちになり、上には上がいると思うようになる。
そんな現実に直面すると、夢を持つことが恥ずかしいと思うようになるのです。
ですが、ドラマで先生がストレートに『夢を持とう』と熱く語りかけ、ヤンキーたちが目標を定めて努力し始め、叶えるために努力し続ける姿を見ているうちに、『あきらめず、努力すれば夢をつかみとれる、夢を持つことは大事なことなのかもしれない』と思うようになる。先生の熱意が伝染するんです」
川藤幸一が引用する格言
先生が生徒に語りかける言葉として、世界の偉人たちが残した格言が学園ドラマのセリフとして使われることがある。
『ROOKIES』の川藤は現代国語が担当のため、生徒を説得するときに古文や中国のことわざをいきなり口にする。
「これは話を聞かない生徒に効果があるんです。説得するときにも『こうした方がいい』と直接、訴えかけるよりも、急にことわざや偉人の言葉を言うことで、『この人、なんの意図があってこんなことを言っているんだろう』と一瞬生徒が耳を貸します。
そこですかさず『こんな意味がある』と説明すると、不思議とその言葉を受け入れようとするのです」