鉛のおしろい、生き血の風呂……美しさのためなら、女性は時に手段を選ばない。近年、アメリカから黒船のごとく伝来した新成分「CBD」も、すでに多くの女性を魅了してやまない、素晴らしい効果を秘めている。だが、飛びつくのはまだ早計かもしれない──。
2010年頃、韓国発の「かたつむりクリーム」が日本でも爆発的な人気を集めたことを覚えている人は多いだろう。ハチ毒、ヘビ毒、胎盤(プラセンタ)……と、一見とんでもない成分の美容効果が注目されることは多々あるが、いま、世界中から熱視線を集めている最新の美容成分は、なんと「大麻」から採れる。
大麻から抽出した「CBD(カンナビジオール)」という成分が配合されたクリームを使うと、にきびや炎症、シミ、しわなどの悩みが劇的かつ即座に改善すると、アメリカを中心に大ブームなのだ。
炎症やくすみが消えた
CBDの特長は、なんといってもその効果にある。国内で初めてCBDの安全性を検証した日本化粧品協会代表理事の引地功一さんが言う。
「CBDという物質は、塗ってよし、のんでよしの“有望成分”です。紫外線や環境汚染などのダメージから肌を守る抗酸化作用、老化の原因となる“体のコゲ”を防止する抗糖化作用、抗炎症作用に優れているという多くの報告がされています」(引地さん・以下同)
それにより、にきびや肌の赤みなどに驚異的な効果を発揮するほか、シミ、しわ、くすみの改善や、キメを整えて肌にハリを出す、皮脂の分泌量を正常にコントロールするなどの効果も認められている。さらに、湿疹や水疱瘡、やけど、かゆみ、アトピー、アレルギー性皮膚炎、傷あと、脂漏性皮膚炎などの治療にも効果が期待できるとも。
「CBDの抗酸化作用は、ビタミンCやビタミンE以上という研究結果があります。少し肌に赤みがある程度なら、1回の使用で目に見えて改善します。朝晩、5日間も使えば、くすみが取れてワントーン肌が明るくなる。内側から発光するような美しさが実感できるとされています。
従来の化粧品には、20日程度継続使用して効果を感じるものが多い中、CBD配合の化粧品は、即効性があるのも魅力の1つです」
日本化粧品協会が美容形成外科クリニックで行ったモニターテストでは、水光注射やダーマペン(肌に微細な針で傷をつけ、その治癒の過程で細胞の活性化による肌の再生・美肌効果を狙う美容医療)施術後の傷と出血がある状態の肌に使用しても、すべての被験者に、皮膚の炎症などの副反応は見られなかった。さらに飲用によって痛みの緩和や高いリラックス作用も認められており、2018年以降は、CBDはドーピングの規制対象からも外れている。
副作用がなく、これほど劇的な美肌効果と即効性がある成分はこれまでにない。CBD配合の化粧品はすでに国内でも多く販売されている。だが、それらに安易に飛びつくのは絶対に避けるべきだ。