来る総選挙では、国民が主役だ。自民党総裁選には投票できなかった全国の有権者が「1票」を行使して政治に物言う番がやってくる。 総選挙で投票したい候補がいないなら、有権者が「ためにならない」と考える政治家を懲らしめる方法がある。それが落選運動だ。一言で言えば、国民が候補者の素行や過去の言動をチェックしてその事実を他の有権者に広く知らせ、当選させないようにする。
やり方は、ネットやSNSでもいい。落選運動なら国民はいつでも政治家に「落選させるぞ」と主権者の力を示すことができるのだ。落選運動に値する議員達の行動を振り返ってみよう。
国会議員のスキャンダル、破廉恥行為は有権者への裏切りだ。
真っ先に挙げられるのは、緊急事態宣言下で銀座のクラブ豪遊が批判を浴びた麻生側近の松本純氏、田野瀬太道氏、大塚高司氏だ。3人とも表向き自民党を離党したものの、「次の選挙は無所属で出馬することになるが、当選すれば“禊ぎが済んだ”として復党が認められる」(自民党閣僚経験者)という。自民党は同じく緊急事態宣言中に高級会員制ラウンジで遊んで離党した白須賀貴樹氏(元細田派)の千葉13区には公募で新人を擁立しながら、3人の選挙区にはなぜか対立候補を立てていない。
自民党のスキャンダル議員はなかなか議員辞職しない。IR汚職の秋元司氏(離党)は一審有罪判決を受けたが、無罪を主張して控訴し、次の総選挙に無所属で出馬の構えだ。
元農水副大臣の小里泰弘氏は会員制ラウンジで働いていた大学生と“愛人契約”を結んでいたことが報じられ、國場幸之助氏は地元・沖縄の繁華街で酔って暴力沙汰、武井俊輔氏は秘書が運転する車が当て逃げ事故を起こし、本人もその車に同乗していたことで批判を浴びた。だが、自民党はいずれも公認する予定だ。
有権者には地元の議員の国会での「仕事ぶり」はほとんど分からない。坂本哲志氏は地元・熊本を中心に82人の死者を出した令和2年7月豪雨の被害に関する国会審議に出席中、議員席で趣味の英語の勉強に熱中していたことが報じられた。そのことを批判されると、「読みかけの本があったもんだから、ちょっと読んだ。野党議員の質問には聞いても聞かなくてもいいようなやつもある」と開き直った。
評論家の小沢遼子氏が言う。
「コロナで飲食店やカラオケ、パチンコなど多くの業種は経営が苦しく、従業員は解雇、学生もアルバイトを失って生活に困っている。そういう時期に、この政治家たちは国民を見ずに何をやっているのでしょう。不祥事や不始末を犯した恥知らずの国会議員は政治からお退きいただきたい」
こうした政治家たちが次の選挙で当選すれば、「この程度のことならやってもいい」と政治のモラルハザードを一層助長することになってしまう。
※週刊ポスト2021年10月15・22日号