新たな総理大臣を決めることとなる自民党の総裁選は、国民不在のなか終わった。しかし、総選挙では、国民こそが主役となり、その1票で政治に意見をぶつける貴重な機会となる。
総選挙で投票したい候補がいないとういう有権者もいるだとう。それならば、「ためにならない政治家」を懲らしめることもできる。それが落選運動だ。一言で言えば、国民が候補者の素行や過去の言動をチェックしてその事実を他の有権者に広く知らせ、当選させないようにする。やり方は、ネットやSNSでもいい。落選運動なら国民はいつでも政治家に「落選させるぞ」と主権者の力を示すことができるのだ。落選運動に値する議員達の行動を振り返ってみよう。
国会議員バッジをつければ、高額な歳費や豪華な宿舎、航空機の無料パスなど特権が満載だ。だから野党には議席を維持するために選挙のたびに党を渡り歩く議員が多い。無節操なのは「寄らば大樹」と野党から自民党に鞍替えする議員だ。
その代表格が民主党政権で大臣を歴任、その後も民主党幹事長を務めて「野党のホープ」と呼ばれた細野豪志氏である。
「首相の夢は捨てた」と自民党入りを希望して二階派に入会した。細野氏と当選同期の元民主党代議士で評論家の木下厚氏が苦言を呈する。
「細野は民主党当時からずっと自民党を批判してきたのに、コロッと二階派に入った。これは有権者に対する裏切りです」
政権交代の夢も、首相の夢も捨てて議席にしがみつこうとするのは、「生活の糧」を得るためと見られても仕方ない。
鷲尾英一郎氏は自民党入党後、衆院環境委員長、外務副大臣とトントン拍子に出世。長島昭久氏は、次の総選挙では自民党現職との競合を避けて東京18区から出馬する。
選挙のたびに党を変えてきたのが元NHK記者の井出庸生氏だ。みんなの党で初当選(比例復活)し、2選目は維新の党、3選目の前回総選挙は希望の党で当選し、次の総選挙には自民党公認で出馬する。
元北海道開発庁長官の鈴木宗男氏の長女・貴子氏も新党大地で初当選し、2選目は民主党から当選、前回総選挙前に自民党入りすると、北海道ブロックの比例名簿単独2位という“当選切符”をもらった。政治ジャーナリスト・伊藤惇夫氏が言う。
「彼らは自民党で出たかったけど、出られなかったから他党で立候補した、とにかく国会議員になりたかった人たち。有権者は候補者の過去の言動や行動を厳しく指摘し続けていく必要があります」
※週刊ポスト2021年10月15・22日号