人気格闘技イベント「RIZIN」が初の配信限定大会「LANDMARK VOL.1」(10月2日)を開催した。配信先は国内最大規模の登録者数を誇る動画配信サービス「U-NEXT」。これまでサザンオールスターズやB’zなどの有名アーティストのライブ配信を行なってきたが、主催者の発表によれば、今大会はそれらの視聴数を大きく上回ったという。
RIZINの看板選手である朝倉未来・朝倉海の兄弟を始め、昨今、格闘家の多くはYouTubeで自身のチャンネルを持ち、再生回数が100万回を超える動画を連発している。ネット配信と格闘技の親和性の高さが改めて示された形だが、そんな格闘技ブームのなか、頭を抱えているのがRIZINの地上波放送を担うフジテレビだ。
「オンエアのハードルが高くなってきている。とくにゴールデンタイムの放送が難しい」
フジテレビ局員がそう嘆息する理由は、主な日本人選手の「タトゥー」だという。2日の「LANDMARK VOL.1」でも、メインカードの朝倉未来の対戦相手、萩原京平は全身にタトゥーを入れていた。そのほかRIZIN10月大会のバンタム級トーナメント2回戦にも進出した金太郎や、キックボクシングから総合格闘家に転身した平本蓮など、多数の人気選手が体中にタトゥーを入れている。
格闘技ライターの堀江ガンツ氏が語る。
「地下格闘技出身の選手が増えてきたことで、タトゥーの入った選手が目立つようになりました。フジテレビも地上波の放送となるとコンプライアンスの面で神経質になっているようで、ゴールデンタイムに全身タトゥーの日本人選手の試合が放送されることは基本的にはない。現場で取材する身として感じるのは、テレビ局側に明確な基準があるというより、放送できないことが“暗黙の了解”になっているのではないか、ということ。選手側もそれを受け入れているように見える」
フジテレビにタトゥーの入った選手の放送基準について聞くと、「制作の詳細についてはお答えしておりません」(広報局)とのことだったが、過去にはライバル団体のK-1でも同じ問題が浮上したことがある。2015年の大晦日大会(TBS系)で魔裟斗と山本“KID”徳郁が再戦した際、KIDのタトゥーを問題視する報道があり、当日はKIDがラッシュガードを着用して、タトゥーが見えないようにした。