新型コロナウイルスの第5波が急速に引いたと思いきや、目の前にはインフルエンザのハイシーズンが迫っている。「またワクチンか……」と悩む人も多いだろう。インフルを打つか、新型コロナの「3回目」を打つか、それが問題だ。
関東地方に住む主婦A子さん(65才)に最近、自治体からインフルエンザワクチン接種のお知らせが届いた。だがA子さんは接種に乗り気ではないという。
「これからインフルエンザのシーズンですからね。とは言っても、新型コロナのワクチンの2回目接種を終えたばかりだし、そんなに短期間にいろんな種類のワクチンを打って体が大丈夫なのか心配です。それに新型コロナが蔓延してからインフルエンザは流行っていないので、打つ必要性もあまり感じません」
インフルエンザは例年、国内で1000万人がかかるとされるが、国立感染症研究所によると、昨シーズン(2020年9月~2021年3月)のインフルエンザ受診者数の推計は全国で約1万4000人だった。ざっと1000分の1の規模まで減った。
通常、インフルエンザの患者は9月頃から増え始める。コロナ前の2019~2020年シーズンは9月だけで約2万人が感染した。一方、昨シーズン同時期はたったの約20人で、今シーズンはさらに少ない4人しか報告がない。
それゆえA子さんのようにわざわざインフルエンザのワクチンを接種することに二の足を踏む人が多い。
さて、一方の新型コロナのワクチンは、2回目接種後に感染する「ブレークスルー感染」が増加し、世界各国で「3回目」の接種が進んでいる。すでにイスラエルやアメリカでは3回目接種が始まり、イギリスやフランスなども追随する構えで、日本も3回目接種を視野に入れている。
3回目の効果について、イスラエル・アシュドッド大学病院のタル・ブロッシュ・ニシモフ医師はこう語る。
「実際に3回目を打った人の感染リスクは、2回だけの人(接種後6か月)に比べて4倍以上低く、入院や重症化のリスクは5~6倍低い」
だが新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんは3回目の効果に疑問を投げかける。
「イスラエルでは確かに3回目を打ってから12~24日目までは新型コロナに感染する人が明らかに減っている。しかし24日目以降はデータを取っておらず、副作用の調査もしていない。それでは正確な効果は測定できません」
3回目接種の効果が不安視される中、海外から驚くべき研究結果が飛び出した。